アダラート。 ニフェジピン:アダラート

ニフェジピン(アダラート)の効果がでるまで

アダラート

アダラート(ニフェジピン)の作用機序:高血圧治療薬 高血圧では血管に高い圧がかかるため、血管に大きなストレスをかけてしまいます。 これによって血管がボロボロになり、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こしてしまいます。 また、高血圧などによって動脈硬化が進むと心臓に栄養を送るための血管が細くなり、心臓の細胞に十分な栄養が供給されなくなることがあります。 これによって胸に激痛が起こりますが、この病気を狭心症と呼びます。 そこで、これら高血圧(本態性高血圧症、腎性高血圧症)や狭心症を治療する薬として アダラート(一般名:ニフェジピン)が使用されます。 ニフェジピンは カルシウム拮抗薬と呼ばれる種類の薬になります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の作用機序 カルシウムと血管には密接な関係があります。 そして、血管の収縮にもカルシウムが関与しています。 血管にはカルシウムが流入するための受容体が存在しており、カルシウムが入ってくることで血管が縮まります。 血管が収縮するため、高血圧患者ではその分だけ血圧が高まってしまいます。 つまり、高血圧の症状が悪化します。 同じように、心臓に栄養を送る血管が細くなっている狭心症患者では、 血管が収縮するとより血液の流れが悪くなってしまいます。 その結果、狭心症の症状が悪くなります。 そこで、この逆の作用を行えば病気を治療できます。 カルシウムが流入するための受容体を阻害すれば、血管収縮が抑えられて血管が拡張するようになります。 その結果、血圧が下がるために高血圧を治療し、血液のめぐりが改善されるために狭心症を改善できます。 このように、カルシウムが流入する受容体を阻害する事で血管を拡張させ、高血圧や狭心症を治療する薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 カルシウムの作用に拮抗するため、この種類の薬をカルシウム拮抗薬と呼びます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)による開発の歴史 カルシウム拮抗薬は脳や心臓、腎臓など全身の血管を拡張させるため、強力に血圧を下げることができます。 その中でも、 アダラート(一般名:ニフェジピン)は特に心臓に栄養を送るための血管(冠動脈)に対して高い選択性を示します。 そのため、発売当初は狭心症の治療薬として開発され、使用されてきました。 最初に販売された薬はアダラートカプセルです。 カプセルの中が溶液状になっている軟カプセルであり、薬を飲んですぐに効果を示すという特徴があります。 狭心症の発作が起こったときであっても素早く効果を示します。 ただし、アダラートカプセルを服用した後に急激に血液中の薬物濃度が上昇すると、血管を拡張させる作用のために顔面潮紅や頭痛などの副作用が表れやすくなります。 そこで、それまでの副作用を軽減し、1日の服用回数を少なくさせた薬(1日2回)として アダラートLが開発されました。 薬の有効成分をゆっくり放出させることにより、副作用を回避させながら薬の効果を得ることができます。 アダラートLの登場により、血中濃度(血液中の薬物濃度)が急激に上昇するのを抑えられるだけでなく、その効果が長く持続することによって薬の服用回数を減らすことができました。 ここからさらに副作用を軽減し、血圧降下作用を穏やかにし、1日1回の服用で済むように改良した薬として アダラートCRが開発されました。 これにより、 24時間にわたって薬の効果を持続させることに成功しました。 アダラートLに比べて、アダラートCRはさらに血中濃度の立ち上がりが遅くなり、副作用の回避と穏やかな薬の作用を実現しています。 ちなみに、アダラートCRについては錠剤を小さくしたスモール錠が発売されるなど、飲みやすくするための剤型変更も行われています。 このように何度も薬を改良していき、より服用しやすい剤形を目指すことで高血圧や狭心症の治療に貢献してきた薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 アダラートにはアダラートカプセル、アダラートL、アダラートCRと多くの種類があります。 それぞれ、どのような違いがあるのかについては、こうしたアダラート開発の歴史をみることで確認できます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の効能効果・用法用量 高血圧や狭心症などに活用されるアダラートですが、実際に服用するときはどのようにすればいいのでしょうか。 これについては、それぞれの剤型によって異なります。 ・アダラートカプセル アダラートカプセルを服用する場合、1回10mgを1日3回経口投与します。 つまり、1日合計30mgの服用です。 ただ、年齢や体重、症状などに応じて服用量を変える必要があります。 アダラートカプセルには5mgと10mgがあるため、それぞれの症状に合わせて使用していきます。 なお、前述の通り軟カプセルであるため、脱カプセル(カプセルを外して中身を出すこと)はできません。 ・アダラートL アダラートLの場合、高血圧患者では1回10~20mgを1日2回服用します。 一方で狭心症であると、1回20mgを1日2回服用します。 ・アダラートCR 高血圧患者に対してアダラートCRを用いるとき、1日1回10~20mgを投与するところから始めます。 その後、症状に合わせて1日1回20~40mgを投与します。 狭心症では1日1回40mgの投与です。 症状が改善しない場合、1日1回60mgまで投与可能です。 ちなみに、アダラートカプセルでは空腹時よりも、食後に投与した方が血中濃度の立ち上がりが遅いです。 これは薬がゆっくり吸収されることを意味します。 一方でアダラートCRになると、空腹時でも食後でも血中濃度に変わりはありません。 また、アダラートLからアダラートCRへ切り替える場合、「アダラートL20mgを1日2回服用していた人は、アダラートCR40mgを1日1回にする」など、薬物量と作用時間を考慮しながら行います。 頓服によるアダラートの使用 アダラートLとアダラートCRの違いをみたとき、このように服用方法が異なります。 そして、他にもあるとしたら「アダラートの頓服使用」です。 血圧が高いとき、医師によっては稀にアダラートを頓服で処方することがあります。 アダラートカプセルでは急激な降圧作用を得られるものの、反動を生じる危険性があります。 そこで、即効性を求めるにしてもアダラートLが頓服使用されます。 アダラートCRは1日1回で効果が持続し、徐々に作用が表れる薬なので頓服での使用はありません。 高齢者への使用 高齢者に対して、一般的に過度の血圧低下は好ましくありません。 そのため、 最初は低用量(アダラートCRを1日10mgから始めるなど)で薬をスタートさせる必要があります。 急激な血圧低下は脳梗塞を引き起こすリスクになるため、慎重投与が必要になります。 ただ、アダラート(一般名:ニフェジピン)は高齢者や合併症がいくつもある人など、多くの人に活用されます。 投与量は調節する必要があるものの、高血圧患者や狭心症患者で服用している人は多いです。 小児(子供)、妊婦・授乳婦への使用 小児に対してのアダラート(一般名:ニフェジピン)はほとんど活用されません。 25~0. 一方で妊婦はどうかというと、妊娠20週未満の方や妊娠する可能性のある人は投与禁忌となっています。 動物実験でアダラートを確認したところ、妊娠初期で催奇形性(胎児に奇形をもたらす作用)や胎児毒性が確認されているからです。 ただ、妊娠20週以降であれば薬による胎児への影響は少なくなります。 この場合、治療することの有益性が高いと判断された場合のみアダラートが活用されます。 このときは過度の血圧低下や胎児胎盤循環への悪影響を回避するため、アダラートカプセルではなくアダラートLやアダラートCRなど長時間作用型の薬を活用する必要があります。 授乳婦について、母乳中へアダラート(一般名:ニフェジピン)が移行することが分かっています。 そのため、添付文章には「アダラート服用中の授乳婦は授乳を中止する必要がある」とされています。 しかし、 実際には母乳中へのアダラートの移行は少なく、「授乳が可能と考えられる降圧薬」として産後の授乳婦であっても問題なく活用できるのが現状です。 ちなみに、 切迫早産の治療薬としてアダラート(一般名:ニフェジピン)を活用することがあります。 子宮筋の収縮を抑制することで分娩を遅らせる作用があるため、これを切迫早産の治療に活用したのです。 妊娠中にお腹の張りを感じたとき、子宮収縮抑制のために用いられます。 アダラートカプセルの舌下投与 特に血圧が高いことによる不都合な病気としては、高血圧緊急症があります。 高血圧緊急症としては高血圧性脳症、妊娠高血圧腎症などが知られています。 こうしたとき、ニフェジピンカプセルをかみ砕き、有効成分を舌の下から吸収させる「舌下投与」がかつて行われていました。 薬の有効成分が急速に体内へ吸収され、結果として血圧を急降下させることができます。 ただ、過度の降圧や反射性頻脈をもたらすことがあるため、現在では アダラートカプセルを用いた舌下投与は禁忌となっています。 なお、アダラートではカプセルやL錠、CR錠を含めかみ砕いたり粉砕したりするのは禁止です。 カプセルではかみ砕いての舌下投与や飲み込みは禁止されていますし、L錠やCR錠を粉砕すると「薬がゆっくり溶け出す製剤工夫」が壊されるため、薬が急速に吸収されて副作用がもたらされます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の副作用 アダラートは血管を拡張させる作用がメインであるため、それに伴う副作用が多いです。 主な副作用には頭痛・頭重感、顔面潮紅・顔のほてり、動悸、めまいがあります。 脳の血管が拡張されると、それに伴って神経が圧迫されて頭痛を生じます。 また、顔面の血管が広がると紅潮・ほてりにつながります。 血管が広がって血圧が下がると、心臓にとってはその分だけ血液を全身に送りにくくなるため、頑張って血液を送るために動悸を生じるようになるのです。 さらに、脳の血液が足りないとめまいを引き起こします。 このような副作用の他には、熱感・のぼせ、ふらつき、血圧低下、起立性低血圧、浮腫(下肢,顔面などのむくみ)、胸部痛、頻脈、頻尿、発汗、悪寒、便秘、じんましん、歯肉肥厚などが知られています。 精神面の副作用には倦怠感、うつ症状、眠気、不眠、脱力感、四肢しびれ感などがあります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の飲み合わせ 薬同士の飲み合わせについて、アダラート(一般名:ニフェジピン)には併用禁忌の薬はありません。 ただ、併用注意の薬は存在します。 まず、他の降圧剤と併用すると相互に血圧低下を招く恐れがあります。 ただ、うまく血圧をコントロールできなかったり、狭心症の症状を抑えることができなかったりする場合は他の降圧剤と併用することがよくあります。 他には、肝臓の代謝酵素が問題になりやすいです。 アダラート(一般名:ニフェジピン)は肝臓の代謝酵素CYP3A4と呼ばれる酵素によって代謝・不活性化されます。 そのため、 肝代謝酵素CYP3A4へ影響する薬との併用は注意が必要です。 例えば、イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)やジフルカン(一般名:フルコナゾール)などのトリアゾール系抗真菌剤はCYP3A4を阻害します。 また、HIV治療薬であるノービア(一般名:リトナビル)、インビラーゼ(一般名:サキナビル)などはCYP3A4によって代謝される薬です。 これらの薬と併用すると、アダラート(一般名:ニフェジピン)が代謝・不活性化されにくくなって副作用が表れやすくなります。 また、免疫抑制剤であるプログラフ(一般名:タクロリムス)と併用すると、プログラフの血中濃度が上昇して副作用が表れやすくなります。 プログラフもアダラートと同様にCYP3A4によって代謝されるため、代謝酵素を奪い合ってしまうのです。 なお、 飲み合わせで有名な食品としてグレープフルーツジュースがあります。 グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害するため、アダラート(一般名:ニフェジピン)の血中濃度を上昇させて薬の副作用を引き起こしやすくさせます。 さらに、胃薬として知られるタガメット(一般名:シメチジン)と併用すると、シメチジンの作用によって肝血流量が低下し、結果としてアダラートの作用が強まることがあります。 アルコール(お酒)については、動悸やめまいなどの副作用を強める恐れがあります。 他には、アダラート(一般名:ニフェジピン)の作用が弱まってしまうこともあります。 抗生物質リファジン(一般名:リファンピシン)、抗てんかん薬アレビアチン・ヒダントール(一般名:フェニトイン)、抗てんかん薬テグレトール(一般名:カルバマゼピン)などはCYP3A4の量を増やすことが知られています。 代謝・不活性化に関わる酵素の量が増えるため、結果としてアダラート(一般名:ニフェジピン)の分解が素早く進んでしまい、薬としての効果が減弱しやすくなります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)のほとんどは肝臓での代謝が関与しており、腎臓は関わりません。 そのため、このように相互作用(飲み合わせ)に注意が必要です。 その代わり、腎機能不全患者であったり人工透析が必要であったりする人であっても、アダラート(一般名:ニフェジピン)では投与量の調節が必要なく使用できます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)と他剤との違い カルシウム拮抗薬に分類されるアダラート(一般名:ニフェジピン)ですが、カルシウム拮抗薬には他にも種類があります。 例えば、ノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピン)やアテレック(一般名:シルニジピン)、コニール 一般名:ベニジピン などです。 薬によって狭心症に活用できたり、腎血管性高血圧症へ使用できたりとそれぞれ適応は異なりますが、降圧剤として血圧を下げるという意味ではどれも同じです。 これらの薬は作用機序の異なる降圧剤と頻繁に併用されます。 例えば、ARB(アンジオテンシン2受容体阻害薬)という種類の薬にディオバン(一般名:バルサルタン)やブロプレス(一般名:カンデサルタン)などがあり、よく併用されます。 高血圧では他にも糖尿病などの他の病気を合併していることは多いですが、こうした他の薬とも併用で活用されます。 カルシウム拮抗薬同士の併用 なお、中にはカルシウム拮抗薬同士を併用することがあります。 同じ作用機序の薬を併用することがあるのは理由があります。 「作用機序」の項目で説明したカルシウムチャネル(カルシウムが流入するための受容体)には、いくつもの種類があります。 これには L型、N型、T型が存在します。 例えば、同じカルシウム拮抗薬であってもアダラート(一般名:ニフェジピン)やノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピン)はL型のカルシウム拮抗薬です。 一方でコニール 一般名:ベニジピン はL型、N型、T型それぞれのカルシウムチャネルを阻害します。 こうした違いがあるため、例えば「アダラートとコニールを併用する」などによって、より優れた降圧効果を期待することがあります。 このように、高血圧(本態性高血圧症、腎性高血圧症)や狭心症に対して広く活用される薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 現在ではアダラートLやアダラートCRが主に活用されています。

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第6回 OD錠やCR錠とは?(製剤学)

アダラート

アダラート(ニフェジピン)の作用機序:高血圧治療薬 高血圧では血管に高い圧がかかるため、血管に大きなストレスをかけてしまいます。 これによって血管がボロボロになり、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こしてしまいます。 また、高血圧などによって動脈硬化が進むと心臓に栄養を送るための血管が細くなり、心臓の細胞に十分な栄養が供給されなくなることがあります。 これによって胸に激痛が起こりますが、この病気を狭心症と呼びます。 そこで、これら高血圧(本態性高血圧症、腎性高血圧症)や狭心症を治療する薬として アダラート(一般名:ニフェジピン)が使用されます。 ニフェジピンは カルシウム拮抗薬と呼ばれる種類の薬になります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の作用機序 カルシウムと血管には密接な関係があります。 そして、血管の収縮にもカルシウムが関与しています。 血管にはカルシウムが流入するための受容体が存在しており、カルシウムが入ってくることで血管が縮まります。 血管が収縮するため、高血圧患者ではその分だけ血圧が高まってしまいます。 つまり、高血圧の症状が悪化します。 同じように、心臓に栄養を送る血管が細くなっている狭心症患者では、 血管が収縮するとより血液の流れが悪くなってしまいます。 その結果、狭心症の症状が悪くなります。 そこで、この逆の作用を行えば病気を治療できます。 カルシウムが流入するための受容体を阻害すれば、血管収縮が抑えられて血管が拡張するようになります。 その結果、血圧が下がるために高血圧を治療し、血液のめぐりが改善されるために狭心症を改善できます。 このように、カルシウムが流入する受容体を阻害する事で血管を拡張させ、高血圧や狭心症を治療する薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 カルシウムの作用に拮抗するため、この種類の薬をカルシウム拮抗薬と呼びます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)による開発の歴史 カルシウム拮抗薬は脳や心臓、腎臓など全身の血管を拡張させるため、強力に血圧を下げることができます。 その中でも、 アダラート(一般名:ニフェジピン)は特に心臓に栄養を送るための血管(冠動脈)に対して高い選択性を示します。 そのため、発売当初は狭心症の治療薬として開発され、使用されてきました。 最初に販売された薬はアダラートカプセルです。 カプセルの中が溶液状になっている軟カプセルであり、薬を飲んですぐに効果を示すという特徴があります。 狭心症の発作が起こったときであっても素早く効果を示します。 ただし、アダラートカプセルを服用した後に急激に血液中の薬物濃度が上昇すると、血管を拡張させる作用のために顔面潮紅や頭痛などの副作用が表れやすくなります。 そこで、それまでの副作用を軽減し、1日の服用回数を少なくさせた薬(1日2回)として アダラートLが開発されました。 薬の有効成分をゆっくり放出させることにより、副作用を回避させながら薬の効果を得ることができます。 アダラートLの登場により、血中濃度(血液中の薬物濃度)が急激に上昇するのを抑えられるだけでなく、その効果が長く持続することによって薬の服用回数を減らすことができました。 ここからさらに副作用を軽減し、血圧降下作用を穏やかにし、1日1回の服用で済むように改良した薬として アダラートCRが開発されました。 これにより、 24時間にわたって薬の効果を持続させることに成功しました。 アダラートLに比べて、アダラートCRはさらに血中濃度の立ち上がりが遅くなり、副作用の回避と穏やかな薬の作用を実現しています。 ちなみに、アダラートCRについては錠剤を小さくしたスモール錠が発売されるなど、飲みやすくするための剤型変更も行われています。 このように何度も薬を改良していき、より服用しやすい剤形を目指すことで高血圧や狭心症の治療に貢献してきた薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 アダラートにはアダラートカプセル、アダラートL、アダラートCRと多くの種類があります。 それぞれ、どのような違いがあるのかについては、こうしたアダラート開発の歴史をみることで確認できます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の効能効果・用法用量 高血圧や狭心症などに活用されるアダラートですが、実際に服用するときはどのようにすればいいのでしょうか。 これについては、それぞれの剤型によって異なります。 ・アダラートカプセル アダラートカプセルを服用する場合、1回10mgを1日3回経口投与します。 つまり、1日合計30mgの服用です。 ただ、年齢や体重、症状などに応じて服用量を変える必要があります。 アダラートカプセルには5mgと10mgがあるため、それぞれの症状に合わせて使用していきます。 なお、前述の通り軟カプセルであるため、脱カプセル(カプセルを外して中身を出すこと)はできません。 ・アダラートL アダラートLの場合、高血圧患者では1回10~20mgを1日2回服用します。 一方で狭心症であると、1回20mgを1日2回服用します。 ・アダラートCR 高血圧患者に対してアダラートCRを用いるとき、1日1回10~20mgを投与するところから始めます。 その後、症状に合わせて1日1回20~40mgを投与します。 狭心症では1日1回40mgの投与です。 症状が改善しない場合、1日1回60mgまで投与可能です。 ちなみに、アダラートカプセルでは空腹時よりも、食後に投与した方が血中濃度の立ち上がりが遅いです。 これは薬がゆっくり吸収されることを意味します。 一方でアダラートCRになると、空腹時でも食後でも血中濃度に変わりはありません。 また、アダラートLからアダラートCRへ切り替える場合、「アダラートL20mgを1日2回服用していた人は、アダラートCR40mgを1日1回にする」など、薬物量と作用時間を考慮しながら行います。 頓服によるアダラートの使用 アダラートLとアダラートCRの違いをみたとき、このように服用方法が異なります。 そして、他にもあるとしたら「アダラートの頓服使用」です。 血圧が高いとき、医師によっては稀にアダラートを頓服で処方することがあります。 アダラートカプセルでは急激な降圧作用を得られるものの、反動を生じる危険性があります。 そこで、即効性を求めるにしてもアダラートLが頓服使用されます。 アダラートCRは1日1回で効果が持続し、徐々に作用が表れる薬なので頓服での使用はありません。 高齢者への使用 高齢者に対して、一般的に過度の血圧低下は好ましくありません。 そのため、 最初は低用量(アダラートCRを1日10mgから始めるなど)で薬をスタートさせる必要があります。 急激な血圧低下は脳梗塞を引き起こすリスクになるため、慎重投与が必要になります。 ただ、アダラート(一般名:ニフェジピン)は高齢者や合併症がいくつもある人など、多くの人に活用されます。 投与量は調節する必要があるものの、高血圧患者や狭心症患者で服用している人は多いです。 小児(子供)、妊婦・授乳婦への使用 小児に対してのアダラート(一般名:ニフェジピン)はほとんど活用されません。 25~0. 一方で妊婦はどうかというと、妊娠20週未満の方や妊娠する可能性のある人は投与禁忌となっています。 動物実験でアダラートを確認したところ、妊娠初期で催奇形性(胎児に奇形をもたらす作用)や胎児毒性が確認されているからです。 ただ、妊娠20週以降であれば薬による胎児への影響は少なくなります。 この場合、治療することの有益性が高いと判断された場合のみアダラートが活用されます。 このときは過度の血圧低下や胎児胎盤循環への悪影響を回避するため、アダラートカプセルではなくアダラートLやアダラートCRなど長時間作用型の薬を活用する必要があります。 授乳婦について、母乳中へアダラート(一般名:ニフェジピン)が移行することが分かっています。 そのため、添付文章には「アダラート服用中の授乳婦は授乳を中止する必要がある」とされています。 しかし、 実際には母乳中へのアダラートの移行は少なく、「授乳が可能と考えられる降圧薬」として産後の授乳婦であっても問題なく活用できるのが現状です。 ちなみに、 切迫早産の治療薬としてアダラート(一般名:ニフェジピン)を活用することがあります。 子宮筋の収縮を抑制することで分娩を遅らせる作用があるため、これを切迫早産の治療に活用したのです。 妊娠中にお腹の張りを感じたとき、子宮収縮抑制のために用いられます。 アダラートカプセルの舌下投与 特に血圧が高いことによる不都合な病気としては、高血圧緊急症があります。 高血圧緊急症としては高血圧性脳症、妊娠高血圧腎症などが知られています。 こうしたとき、ニフェジピンカプセルをかみ砕き、有効成分を舌の下から吸収させる「舌下投与」がかつて行われていました。 薬の有効成分が急速に体内へ吸収され、結果として血圧を急降下させることができます。 ただ、過度の降圧や反射性頻脈をもたらすことがあるため、現在では アダラートカプセルを用いた舌下投与は禁忌となっています。 なお、アダラートではカプセルやL錠、CR錠を含めかみ砕いたり粉砕したりするのは禁止です。 カプセルではかみ砕いての舌下投与や飲み込みは禁止されていますし、L錠やCR錠を粉砕すると「薬がゆっくり溶け出す製剤工夫」が壊されるため、薬が急速に吸収されて副作用がもたらされます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の副作用 アダラートは血管を拡張させる作用がメインであるため、それに伴う副作用が多いです。 主な副作用には頭痛・頭重感、顔面潮紅・顔のほてり、動悸、めまいがあります。 脳の血管が拡張されると、それに伴って神経が圧迫されて頭痛を生じます。 また、顔面の血管が広がると紅潮・ほてりにつながります。 血管が広がって血圧が下がると、心臓にとってはその分だけ血液を全身に送りにくくなるため、頑張って血液を送るために動悸を生じるようになるのです。 さらに、脳の血液が足りないとめまいを引き起こします。 このような副作用の他には、熱感・のぼせ、ふらつき、血圧低下、起立性低血圧、浮腫(下肢,顔面などのむくみ)、胸部痛、頻脈、頻尿、発汗、悪寒、便秘、じんましん、歯肉肥厚などが知られています。 精神面の副作用には倦怠感、うつ症状、眠気、不眠、脱力感、四肢しびれ感などがあります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)の飲み合わせ 薬同士の飲み合わせについて、アダラート(一般名:ニフェジピン)には併用禁忌の薬はありません。 ただ、併用注意の薬は存在します。 まず、他の降圧剤と併用すると相互に血圧低下を招く恐れがあります。 ただ、うまく血圧をコントロールできなかったり、狭心症の症状を抑えることができなかったりする場合は他の降圧剤と併用することがよくあります。 他には、肝臓の代謝酵素が問題になりやすいです。 アダラート(一般名:ニフェジピン)は肝臓の代謝酵素CYP3A4と呼ばれる酵素によって代謝・不活性化されます。 そのため、 肝代謝酵素CYP3A4へ影響する薬との併用は注意が必要です。 例えば、イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)やジフルカン(一般名:フルコナゾール)などのトリアゾール系抗真菌剤はCYP3A4を阻害します。 また、HIV治療薬であるノービア(一般名:リトナビル)、インビラーゼ(一般名:サキナビル)などはCYP3A4によって代謝される薬です。 これらの薬と併用すると、アダラート(一般名:ニフェジピン)が代謝・不活性化されにくくなって副作用が表れやすくなります。 また、免疫抑制剤であるプログラフ(一般名:タクロリムス)と併用すると、プログラフの血中濃度が上昇して副作用が表れやすくなります。 プログラフもアダラートと同様にCYP3A4によって代謝されるため、代謝酵素を奪い合ってしまうのです。 なお、 飲み合わせで有名な食品としてグレープフルーツジュースがあります。 グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害するため、アダラート(一般名:ニフェジピン)の血中濃度を上昇させて薬の副作用を引き起こしやすくさせます。 さらに、胃薬として知られるタガメット(一般名:シメチジン)と併用すると、シメチジンの作用によって肝血流量が低下し、結果としてアダラートの作用が強まることがあります。 アルコール(お酒)については、動悸やめまいなどの副作用を強める恐れがあります。 他には、アダラート(一般名:ニフェジピン)の作用が弱まってしまうこともあります。 抗生物質リファジン(一般名:リファンピシン)、抗てんかん薬アレビアチン・ヒダントール(一般名:フェニトイン)、抗てんかん薬テグレトール(一般名:カルバマゼピン)などはCYP3A4の量を増やすことが知られています。 代謝・不活性化に関わる酵素の量が増えるため、結果としてアダラート(一般名:ニフェジピン)の分解が素早く進んでしまい、薬としての効果が減弱しやすくなります。 アダラート(一般名:ニフェジピン)のほとんどは肝臓での代謝が関与しており、腎臓は関わりません。 そのため、このように相互作用(飲み合わせ)に注意が必要です。 その代わり、腎機能不全患者であったり人工透析が必要であったりする人であっても、アダラート(一般名:ニフェジピン)では投与量の調節が必要なく使用できます。 アダラート(一般名:ニフェジピン)と他剤との違い カルシウム拮抗薬に分類されるアダラート(一般名:ニフェジピン)ですが、カルシウム拮抗薬には他にも種類があります。 例えば、ノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピン)やアテレック(一般名:シルニジピン)、コニール 一般名:ベニジピン などです。 薬によって狭心症に活用できたり、腎血管性高血圧症へ使用できたりとそれぞれ適応は異なりますが、降圧剤として血圧を下げるという意味ではどれも同じです。 これらの薬は作用機序の異なる降圧剤と頻繁に併用されます。 例えば、ARB(アンジオテンシン2受容体阻害薬)という種類の薬にディオバン(一般名:バルサルタン)やブロプレス(一般名:カンデサルタン)などがあり、よく併用されます。 高血圧では他にも糖尿病などの他の病気を合併していることは多いですが、こうした他の薬とも併用で活用されます。 カルシウム拮抗薬同士の併用 なお、中にはカルシウム拮抗薬同士を併用することがあります。 同じ作用機序の薬を併用することがあるのは理由があります。 「作用機序」の項目で説明したカルシウムチャネル(カルシウムが流入するための受容体)には、いくつもの種類があります。 これには L型、N型、T型が存在します。 例えば、同じカルシウム拮抗薬であってもアダラート(一般名:ニフェジピン)やノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピン)はL型のカルシウム拮抗薬です。 一方でコニール 一般名:ベニジピン はL型、N型、T型それぞれのカルシウムチャネルを阻害します。 こうした違いがあるため、例えば「アダラートとコニールを併用する」などによって、より優れた降圧効果を期待することがあります。 このように、高血圧(本態性高血圧症、腎性高血圧症)や狭心症に対して広く活用される薬がアダラート(一般名:ニフェジピン)です。 現在ではアダラートLやアダラートCRが主に活用されています。

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ニフェジピン

アダラート

アダラート(一般名:ニフェジピン)は1976年から発売されている降圧剤(血圧を下げるお薬)で、カルシウム拮抗薬という種類に属します。 アダラートには、• アダラート(1976年発売)• アダラートL(1985年発売)• アダラートCR(1998年発売) の3種類があります。 発売年度が新しいものほど改良を加えられており、安全性も高く使い勝手の良いお薬になっています。 現在では一番新しい「アダラートCR」が用いられる事が多いのですが、症例や状況によってはアダラートLが用いられる事もあります。 一方でアダラートはほとんど用いられる事はありません。 高血圧症の患者さんは日本で1000万人以上と言われており、降圧剤は処方される頻度の多いお薬の1つです。 ここではアダラートというお薬の特徴や効果・副作用、またアダラート、アダラートL、アダラートCRの違いについてなどを説明していきます。 1.アダラートの特徴 アダラートはどのような特徴を持つお薬なのでしょうか。 アダラートはカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤(血圧を下げるお薬)になります。 そのため、まずはカルシウム拮抗薬の特徴をみてみましょう。 【カルシウム拮抗薬の特徴】 ・降圧力(血圧を下げる力)が確実 ・ダイレクトに血管に作用するため、余計な副作用が少ない ・薬価が安い カルシウム拮抗薬の一番の特徴は、血圧を下げる力がしっかりとしている点です。 単純に血圧を下げる力だけを見れば、降圧剤の中で一番でしょう。 降圧剤(血圧を下げるお薬)はカルシウム拮抗薬の他にも、• ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)• 利尿剤• カルシウム拮抗薬は血管を覆っている筋肉(平滑筋)を緩める事で血管を拡張させ、血圧を下げます。 血管にダイレクトに作用するため、その降圧力は強力です。 またダイレクトに血管に作用するため、その他の部位に作用しにくく、安全性に優れ副作用も多くはありません。 カルシウム拮抗薬は薬価が安いのも大きな特徴です。 血圧を下げるコストパフォーマンスという見方をすれば、カルシウム拮抗薬はかなり優れたお薬です。 では次にカルシウム拮抗薬の中での「アダラート」「アダラートL」「アダラートCR」のそれぞれの特徴を紹介します。 まずはもっとも古いアダラートの特徴からみてみましょう。 【アダラートの特徴】 ・降圧力が強い ・即効性があり、服用後30分以内に効果が認められる ・作用時間は4~6時間ほどと短い ・副作用が多い カルシウム拮抗薬は血圧を下げる力がしっかりしているお薬ですが、アダラートはカルシウム拮抗薬の中でも強い降圧力を有します。 アダラートの一番の特徴は即効性に優れる点です。 服用してから30分以内には効果が認められます。 一方で作用時間は短く、4~6時間ほどしか持ちません。 急速に強力に効くアダラートは、狭心症発作など、早急に血管を広げた方が良い状態に対する治療薬として開発されました。 狭心症は心臓を栄養する動脈である冠動脈が狭くなってしまう事で生じる発作です。 心臓に栄養が届かなくなると命に関わるため、狭心症発作は早急な治療が必要になります。 しかしアダラートは確かに急速に強力に効くのですが、急激であるが故に副作用が生じやすいという問題がありました。 急に血管が拡張するため頭痛が生じたり、反射的に交感神経が興奮して頻脈になったり、血圧が急激に低下する事でめまいやふらつき、意識消失が生じるリスクがあります。 そのため実際は狭心症発作にアダラートはあまり使われず、このような発作には主に硝酸薬(ニトログリセリンなど)が用いられています。 またアラダートは高血圧症に対して適応も持っていますが、実は高血圧の治療にもあまり向いていません。 高血圧症は1日を通して持続的に血圧を下げてあげる事が大切です。 急激に効いて、すぐに効果がなくなってしまうようなお薬は、むしろ血圧の波を悪化させてしまうリスクもあり、高血圧の治療薬としては適さないのです。 アダラートは急激に効果が発現するため数値の改善を実感しやすく、一見すると「血圧がすぐ下がった!いいお薬だ」と感じるかもしれません。 しかし実際は血圧の波を作りやすくしてしまうリスクがあるのです。 このような理由から現在ではアダラートはほとんど用いられていないのが現状です。 そして、このような問題点から改良薬として開発されたのが、次に紹介するアダラートLになります。 では、次にアダラートLの特徴を見てみましょう。 【アダラートLの特徴】 ・降圧力が強い ・服用後30分~1時間で効果が認められる ・作用時間は12時間ほど ・アダラートよりは副作用が少ない 前述のようにアダラートは強力な作用を持つものの、効果発現が速く、持続性もないため、あまり高血圧や狭心症発作に適していないお薬である事が分かりました。 しかしアダラートの強い降圧力(血管を広げる作用)は大きなメリットであるため、「アダラートをもう少し緩やかに長く効かせる事は出来ないか」という事で開発されたのが、アダラートL錠です。 ちなみに「L」は「Long acting(長く効く)」という意味です。 アダラートLはアダラートと同じ成分からなりますが、剤型に工夫をする事でアダラートを「緩やかに、長く効くように」改良したお薬になります。 アダラートより効果発現が緩やかで作用時間も長いため、高血圧や狭心症治療にも使いやすくなっています。 また、アダラートよりゆっくり効くため副作用も軽減されています。 しかし後述するアダラートCRの方が、より緩やかに効き、持続力に更に優れるため、現在ではゆっくり長く効かせるという目的でアダラートLを処方する事はあまりありません。 アダラートLはある程度の即効性があるため、現在では急いで血圧を下げたい場合(高血圧緊急症など)に対して用いられる事があります。 ただし急いで血圧を下げるような緊急事態にはアダラートLのような飲み薬ではなく、カルシウム拮抗薬の注射剤を用いる事の方が多く、アダラートLもそこまで使用頻度が多いお薬ではありません。 最後にアダラートCRの特徴を見てみましょう。 【アダラートCRの特徴】 ・降圧力が強い ・即効性は乏しい ・作用時間は24時間続く ・投与後3~4時間後、12時間後に二相性のピークを示す ・副作用が少ない アダラートCRは「CR(Controlled Released)」という特殊な剤型で、お薬の成分がゆっくり溶け出す工夫がされています。 そのため、アダラートLよりも作用時間が長く、1日1回の服用で24時間効果が持続します。 即効性はほとんどなく、お薬を服用してから血中濃度が最大になるまでにかかる時間は3~4時間と報告されています。 普通のお薬は服用してから少し経つと血中濃度が最大となり、その後の血中濃度は緩やかに低下していくのですが、アダラートCRは面白い薬物動態を示します。 服用して3~4時間後に血中濃度が最大になり、その後緩やかに低下するものの、服用8時間後から血中濃度は再度上昇し始め、12時間後に2度目のピークが得られます。 ゆっくり効くため、副作用もかなり少なくなっており、アダラートの中で高血圧の管理や狭心症の予防にもっとも適した剤型となってます。 そのため現在処方されているアダラートのほとんどが「アダラートCR」となっています。 また二相性の薬物動態を示す事から、夜間や早朝に血圧が高くなりがちな方にも向いているお薬になります。 スポンサーリンク 2.アダラートはどのような疾患に用いるのか アダラートはどのような疾患に用いられるのでしょうか。 添付文書には次のように記載されています。 【効能又は効果】 〇高血圧症、腎実質性高血圧症、腎血管性高血圧症 〇狭心症、異型狭心症 アダラートはカルシウム拮抗薬に属しますが、カルシウム拮抗薬は血管を広げることで血圧を下げます。 また冠動脈(心臓を栄養する血管)も広げるため、冠動脈が狭くなる事で生じる狭心症にも効果があります。 高血圧症というのは正式には「本態性高血圧」と言い、何らかの原疾患が原因で血圧が高くなっているわけではなく、動脈硬化によって血圧が上がってしまっている高血圧の事です。 ちなみに本態性高血圧以外の高血圧は、二次性高血圧と呼ばれます。 腎臓に原因があって血圧が上がったり、甲状腺などのホルモンに原因があって血圧が上がるような状態がこれに該当します。 腎実質性高血圧は二次性高血圧の1つで、何らかの原因で腎臓に障害が生じて血圧が上がってしまう疾患です。 例えば糖尿病による腎障害などが原因として挙げられます。 腎臓は尿を作る臓器ですので、腎臓に障害が生じると尿を作りにくくなり、身体の水分が過剰となるため血圧が上がります。 腎血管性高血圧症も二次性高血圧の1つで、腎臓に向かう血管である腎動脈が狭窄する事によって生じる高血圧です。 腎動脈が狭窄して腎臓の血流が少なくなると、腎臓は「血液が少ない。 血圧を上げて血流を増やさなければ!」と判断して血圧を上げるホルモン(レニン)を分泌します。 これにより血圧が上がってしまうのが腎血管性高血圧です。 また狭心症というのは、心臓に栄養を送っている血管(冠動脈)が狭くなったり、痙攣してしまったりすることで、心臓に血液が届かなくなって胸痛などが生じる疾患のことです。 狭心症は動脈硬化によって冠動脈が狭くなる事で生じますが、冠動脈が痙攣(けいれん)する事で生じる事もあり、これは「異型狭心症」と呼ばれます。 アダラートは血管を拡張させるため、冠動脈も拡張させるはたらきがあり、狭心症にも効果は期待できます。 特に痙攣によって生じる「異型狭心症」に対して有効です。 アダラートはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。 アダラートの有効率をみた調査では次のような結果が得られています。 <アダラートカプセルの有効率>• 高血圧症に対する有効率は79. 腎実質性高血圧症に対する有効率は93. 2% 狭心症に対しては、数値はないもののアダラートカプセルの有用性が確認されています。 また異型狭心症に対しては、発作が完全に消失したか半分以下に減少した率は94%と報告されています。 <アダラートL錠の有効率>• 高血圧症に対する有効率は87. 腎実質性高血圧症に対する有効率は85. 労作性狭心症に対する有効率は68. 異型狭心症に対する有効率は92. 本態性高血圧症に対する有効率は89. 77%• 腎実質性高血圧症に対する有効率は72. 97%• 腎血管性高血圧症に対する有効率は77. 78%• 狭心症に対する有効率は73. 44%• 異型狭心症に対する有効率は88. 24% このように各剤型でおおむね変わらない有効率が得られます。 有効率は変わりませんが、副作用はアダラートカプセル、アダラートL、アダラートCRとなるにつれて少なくなっています。 またアダラート、アダラートL、アダラートCRのいずれも動脈硬化によって生じる労作性狭心症より、冠動脈の痙攣で生じる異形狭心症に対してより高い効果が得られる事が分かっています。 3.アダラートはどのような作用があるのか 血圧を下げるはたらきを持つアダラートですが、どのような機序で血圧を下げているのでしょうか。 血圧を下げるお薬にはいくつかの種類がありますが、そのうちアダラートは「カルシウム拮抗薬」という種類に分類されます。 カルシウム拮抗薬は、血管の周りを覆っている平滑筋を緩める作用があります。 筋肉が緩むと血管が広がるため、血圧が下がるというわけです。 より詳しい機序を見てみると、アダラートは平滑筋に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックします。 チャネルという用語が出てきましたが、これはイオンが通る穴だと思ってください。 つまりカルシウムチャネルは、カルシウムイオンが通ることが出来る穴です。 カルシウムチャネルは、平滑筋細胞の中にカルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるという作用があります。 これをブロックするのがアダラートです。 アダラートはカルシウムチャネルの入り口に蓋をしてしまうようなイメージで、これによって平滑筋細胞内にカルシウムイオンが流入できなります。 すると平滑筋は収縮できなくなるため緩み、血管は広がります。 これによって血圧が下がるというわけです。 ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが知られています。 このうち、平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。 L型カルシウムチャネル:主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。 ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる T型カルシウムチャネル:主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。 また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している N型カルシウムチャネル:主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する。 アダラートはL型カルシウムチャネルに選択性が高いため、しっかりと血管を広げる作用を持ちます。 血小板は血液を固まらせるはたらきを持つ血球で、本来は血管に傷が出来て出血してしまった時に傷口で固まる事によって傷口をふさぎ、出血を抑えるはたらきをします。 血液が大量に失われてしまうと命に関わりますので、このような血小板のはたらきはとても重要な役割になります。 しかし動脈硬化が進行した血管は血管内壁が傷だらけのような状態になっているため、血小板が血管内部で活性化してしまう事があります。 すると血管内で血液が固まってしまうため(血栓)、狭心症や心筋梗塞をきたす事があります。 アダラートは血小板のこのような作用を抑制するため、この作用も狭心症の改善に役立っているのではないかと考えられています。 スポンサーリンク 4.アダラートの副作用 アダラートにはどのような副作用があるのでしょうか。 また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。 アダラートの副作用発生率は、• アダラートカプセルで5. 68%• アダラートL錠で5. アダラートCR錠で11. 一見するとアダラートCR錠の副作用が多いように見えますが、実際の臨床的な印象ではアダラートCRが最も副作用は少ない剤型になります。 アダラートカプセルの発売年度が1976年でアダラートCR錠は1998年と約20年の差があります。 実は副作用の調査というのは、年を経るごとにどんどん厳密になってきています。 これは調査の精度が上昇した事や健康に対する意識の向上などが原因と考えられていますが、このような理由で新しいお薬ほど副作用が発見されやすく、発生率の数値が上がってしまうという現象が生じているのです。 生じうる副作用としては、• 顔面潮紅• めまい• 動悸 などが報告されています。 顔面潮紅は顔面の血管が拡張することで生じると考えられます。 頭痛やめまいは急に血圧が下がる事で生じ、動悸も急に血圧が下がった反動で脈拍が速くなるためだと考えられています。 いずれも、急激に血圧を下げるアダラートで特に生じやすい傾向があります。 またアダラートは主にL型のカルシウムチャネルに作用しますが、一部T型に作用してしまうと心臓に影響し、これが動悸の原因となる事もあります。 頻度は稀ですが重篤な副作用としては、• 紅皮症(剥脱性皮膚炎)• 無顆粒球症• 血小板減少• 肝機能障害、黄疸• 意識障害 が報告されています。 紅皮症は全身の皮膚が赤く腫れ、表皮が剥がれ落ちていく疾患で、重症薬疹の1つです。 最悪の場合は命に関わる可能性もあり、早急な対応が求められます。 無顆粒球症は白血球の1つである「好中球」が減少してしまう副作用です。 好中球は細菌などをやっつける血球ですので、無顆粒球症になるとばい菌に感染しやすくなり、また感染した際に重症になりやすくなります。 血小板減少は、血を止める作用を持つ血球である「血小板」が減少してしまう副作用です。 血小板減少が生じると、血が止まりにくくなったり、ちょっと身体をぶつけるだけで出血するようになってしまいます。 またアダラートは肝臓に負担をかけ、肝機能を悪化させてしまう事があります。 いずれも頻度は多くはありませんが、アダラートの服用が長期にわたっている際は、定期的に血液検査を行い、このような副作用が生じていないか確認する事が望まれます。 また対処法としては原則アダラートを中止し、すぐに主治医に適切な対応を仰ぐ必要があります。 アダラートを投与してはいけない方(禁忌)としては、• アダラートの成分に対し過敏症の既往歴のある方• 妊婦又は妊娠している可能性のある方• 心原性ショックの方• 急性心筋梗塞の方(アダラートカプセルのみ) 動物実験で妊娠動物にアダラートを投与したところ、出生児の催奇形性(奇形が生じるリスクがある事)が報告されています。 ヒトにおいても同じ事が生じる可能性を考え、このような方にはアダラートの使用は禁忌となっています。 心原性ショックとは何らかの原因で急に心臓のはたらきが低下してしまった状態の事です。 心臓は全身に血液を送るはたらきがありますから、心原性ショックになると血圧が急激に低下していきます。 このような状態で、更に血圧を下げてしまうアダラートを投与する事は極めて危険ですので禁忌となっています。 また急性心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まってしまう事で、心臓に栄養が送れなくなってしまっている状態で、心臓が急激にダメージを受けている状態です。 このようなただでさえ血行動態が不安定になる状況で、急激に血圧を下げてしまうアダラートを投与する事は危険であるため、禁忌となっています(アダラートL、アダラートCRは禁忌ではありません)。 5.アダラートの用法・用量と剤形 アダラートには、 アダラートカプセル 5mg アダラートカプセル 10mg アダラートL錠 10mg アダラートL錠 20mg アダラートCR錠 10mg アダラートCR錠 20mg アダラートCR錠 40mg といった剤形があります。 アダラートの使い方は、 【アダラートカプセル】 通常成人1回10mgを1日3回経口投与する。 症状に応じ適宜増減する。 【アダラートL錠】 <本態性高血圧症、腎性高血圧症> 通常成人1回10~20mgを1日2回経口投与する。 症状に応じ適宜増減する。 <狭心症> 通常成人1回20mgを1日2回経口投与する。 症状に応じ適宜増減する。 【アダラートCR錠】 <高血圧症、腎実質性高血圧症、腎血管性高血圧症> 通常、成人には20~40mgを1日1回経口投与する。 ただし、1日10~20mgより投与を開始し、必要に応じ漸次増量する。 <狭心症、異型狭心症> 通常、成人には40mgを1日1回経口投与する。 なお、症状に応じ適宜増減するが、最高用量は1日1回60mgとする。 となっています。 アダラートは作用時間が短いため1日3回に分けて服用する必要がありますが、アダラートLは1日2回で良く、アダラートCRは1日1回で24時間効果が持続します。 6.アダラートが向いている人は? 以上から考えて、アダラート、アダラートL、アダラートCRが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。 それぞれの特徴をおさらいすると、 【アダラートの特徴】 ・降圧力が強い ・即効性があり、服用後30分以内に効果が認められる ・作用時間は4~6時間ほどと短い ・副作用が多い 【アダラートLの特徴】 ・降圧力が強い ・服用後30分~1時間で効果が認められる ・作用時間は12時間ほど ・アダラートよりは副作用が少ない 【アダラートCRの特徴】 ・降圧力が強い ・即効性は乏しい ・作用時間は24時間続く ・投与後3~4時間後、12時間後に二相性のピークを示す ・副作用が少ない というものでした。 まず、どれも血管を広げる作用の強さは同じです。 その上で、ゆっくり長く効くお薬ほど副作用が少ないため、アダラートCRがもっとも安全性に優れます。 この3つの中では基本的にはアダラートCRが選択すべきお薬になります。 基本的に血圧は早急に下げる必要はないのですが、稀に早急に下げた方がいいケースがあり(高血圧緊急症など)、このような場合はアダラートLが使われる事もあります。 アダラートカプセルは即効性は一番優れますが、急激に効いてしまうために副作用のリスクもあり、現在では用いられる機会はほとんどありません。 カルシウム拮抗薬全体にいえることですが、血管の平滑筋にダイレクトに作用するカルシウム拮抗薬は、単純に血圧を下げたい時に有用です。 アダラートはカルシウム拮抗薬の中でも降圧力が強めであるため、特に強くしっかりと血圧を下げたい方には適したお薬になります。 他の代表的な降圧剤として、ACE阻害剤やARBなどがあります。 これらももちろん優れたお薬で、腎臓を保護したり、血糖にも影響したりと様々な付加効果があります。 これらはうまく利用すれば、1剤で様々な効果が得られる利点になりますが、「単純に血圧だけを下げたい」という場合には、カルシウム拮抗薬の方が適しています。 カテゴリー• 247•

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