ショパン 19番。 ショパン・ピアノ名曲の体感難易度

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ショパン 19番

本コーナー、カテゴリー別人気投票アンケートコーナーも、今回の「ワルツ」で第5回目となりました。 2005年5月10日にアンケートフォームを設置して以来、 約2ヶ月に渡って123人の方々に協力していただき、2005年7月7日をもって、投票を締め切りました。 協力していただいた皆様、どうもありがとうございました!それでは、集計結果の発表です! 1.投票コーナー設置の趣旨 ショパンのワルツについて ショパンは、生涯でワルツを19曲作曲したことが現在までに分かっています。 生前に出版された第1番から第8番までの8曲、および遺作のうち第9番〜第14番までの6曲を合わせた14曲が一般にはとりわけ よく知られ、親しまれているようです。 第15番〜第19番までは、魅力的な作品はあるものの、ショパン・ワルツ集のCDでも しばしば収められていないことが多く、一般的な認知度が低いため、投票していただく皆さんの負担のことや、投票数の 伸び悩みが心配されるため、今回の投票では対象外としました。 ショパンが、ワルツという形式の舞曲(=円舞曲)をこれだけ多く残したことはやや意外な気もしますが、他の作品群(例えば、 バラード、スケルツォ、ポロネーズなど)のような大規模で肩の張る作品ではなく、より肩の力を抜いて気軽に曲に向かうことが できる作品であったことが大きな理由だと考えられます(この点は、マズルカの方がより顕著ですが…)。 ただ、ショパンが何故、作曲形式として敢えて「ワルツ」を頻繁に用いたかについては、やはり同時代の作曲家の影響を少なからず 受けていると考えるのが妥当だと思います。 ショパンは、ポーランド出国の前年に当たる1829年、19歳のときにオーストリアの ウィーンに演奏旅行に出かけて、この「音楽の都」での華々しいデビュー(でも彼の演奏スタイルは、華やかというよりは、音が 小さくて繊細なものであったと言われています)を飾り、実際、翌年にポーランドを出国した際に向かった先も、ウィーンであった と言われています。 当時、ウィーンでは、ヨハン・シュトラウス(1世)による優雅な円舞曲、ウィンナ・ワルツが流行していた ようで(と言っても、有名なウィンナ・ワルツ、例えば「美しく青きドナウ」や「皇帝円舞曲」、「ウィーンの森の物語」、 「南国のばら」等の作品は、全て後のヨハン・シュトラウス2世によるもの)、ショパンは、何らかの形で、これらの 作品から影響を受けたものと考えるのが妥当だと思います。 それは、ショパンの中では、ある意味「反面教師」的な存在 であった可能性もあります。 というのも、ショパンは、当時のウィンナ・ワルツに音楽作品としての価値を認めていなかった からです。 当時の彼の手記にも、「ウィーンの人たちは、どうしてこういう曲を好むのか、僕には理解できない」という 内容の一文を残していることが分かっています。 僕は、当時のウィンナ・ワルツがどのようなものであったか、正確には 知らないのですが、例えば、その影響を受けたヨハン・シュトラウス2世の代表的作品は、鑑賞には十分堪えうる魅力的な 作品だと思っています。 ショパンは同時代の作曲家の作品を認めないという「意地」が相当強かったことは知られていることで、 こうした「偏屈さ」が彼の手記には随所に見られるようです(これ以上いろいろ書くとヨタ話になりそうなので、このことについては 別の機会に詳しく書こうと思います)。 上記のように、ショパンのワルツは、当時流行のリズム形式を借りながらも、作品の内容は他の誰にも決して真似のできない独創的 なものであり(この点が、似たような作品の多いウィンナワルツとの決定的な違いだと思います)、彼自身の美学、 審美眼にかなうような形で高められたものだと考えられます。 ショパンのワルツは、どちらかというと、フランスのサロン文化の 雰囲気に合うような、都会的に洗練された粋で洒落た感覚の作品だとする見方が一般的です。 彼のワルツの多くは、パリに移り住んで から書かれたもので、華麗系のワルツも、どちらかというと当時のパリの社交界の華やかな雰囲気を反映したものとなっている ようです。 シューマンも、ショパンのワルツを円舞曲として用いるとしても、「少なくとも相手の夫人の半分は、伯爵夫人でなければ ならない」と述べているほど、高雅にして洗練された趣味のよい響きに満たされています。 しかし、ショパンのワルツの大部分は、 そのような意味での「実用」にも全く向かない作品であり、ワルツというリズムを借りながら、自身の内面、心情を綴った抒情詩と なっており、そこにこそ、ショパンのワルツの無二の独自性(=独創性)があると言うべきだと思います。 ショパンのワルツは、 哀愁を帯びた旋律、ハーモニーで満たされており、そのような内面的作品は、むしろマズルカリズムに近い部分も多く、 独特の憂いを帯びた悲しくて寂しい旋律は、多くの人の心を捉えて放さない魅力に満ちています。 本アンケートでは、外面的に華やかな舞踏的性格の強い作品と、内面、心情を吐露した 抒情詩的作品のどちらにより人気が集まったかも、注目されるところだと思います。 2.集計結果 有効回答数 124票 投票ミスと思われる票は除きました) 順位 作品 得点 1位 2位 3位 4位 5位 6位 1位 ワルツ第7番嬰ハ短調Op. 64-2 431 32 27 10 12 10 8 2位 ワルツ第2番変イ長調Op. 34-1 281 14 14 16 12 8 11 3位 ワルツ第9番変イ長調Op. 69-2「別れのワルツ」 265 9 20 12 9 15 6 4位 ワルツ第5番変イ長調Op. 42 248 19 9 10 9 6 10 5位 ワルツ第14番ホ短調遺作 242 13 13 10 11 8 10 6位 ワルツ第1番変ホ長調Op. 18「華麗なる大円舞曲」 234 7 10 15 12 17 12 7位 ワルツ第6番変ニ長調Op. 64-1「小犬のワルツ」 197 5 6 13 12 14 21 8位 ワルツ第3番イ短調Op. 34-2 153 6 7 10 6 10 4 9位 ワルツ第10番ロ短調Op. 69-1 132 3 3 11 10 8 9 10位 ワルツ第13番変ニ長調Op. 70-3 126 7 5 4 10 5 3 11位 ワルツ第4番ヘ長調Op. 34-3 120 5 4 6 6 10 8 12位 ワルツ第8番変イ長調Op. 64-3 66 3 2 3 4 4 6 13位 ワルツ第12番ヘ短調Op. 70-2 49 0 3 2 3 5 7 14位 ワルツ第11番変ト長調Op. 70-1 39 0 0 1 7 3 8 表・及びグラフの説明 前回のエチュード同様、今回も、1位から14位まで降順に並べ替えを行った結果を示しました。 総合得点によって順位付けしていますが、 総合得点は、下記の式に従って算出しています。 多少見にくいかもしれませんが、参考になると思います。 3.講評・コメント 今回は、「ワルツ第7番嬰ハ短調Op. 64-2」が2位の第2番を大きく引き離して、文句なしでダントツのトップに輝きました! この曲がこれほど見事にぶっちぎりで第1位の座を獲得するとは、誰が予想したでしょう?(笑) この曲の人気が極めて高いことは僕自身よく知っていましたが、ここまで人気があるとは正直思いませんでした。 確かに、ショパン・ピアノ名曲集などの初心者向けのタイトル付きの有名曲を寄せ集めたCDにも収録されていることが 多く、またピアノレッスンでも、「初ショパン」として取り上げられることが多い曲で、「憧れのショパンが弾けた!」 という特別な思い入れを持ったピアノ学習経験者の方も多いものと思われます。 また、この曲は、ショパンの晩年の失意と 孤独が影を落としており、ショパンのワルツ特有の深い内省と哀愁に満ちた旋律とハーモニーが心を打ち、涙を誘う作品となっています。 華やかな舞踏曲系のワルツではなく、こうしたショパンの独創性が濃厚に現れた憂鬱系の作品が第1位を獲得したことは、 投票者の皆さんの音楽的好みの趣味の高さを反映した結果と言えると思います。 この曲の前には、第2位以下の曲も霞んで見えてしまうほどですね。 一応、上のグラフを見ると、第2位以下第6位までの ワルツ第2番、第9番、第5番、第14番、第1番までの5曲は僅差となっており、この5曲を2位グループと見ることができると 思います。 堂々第1位の第7番には大きく引き離されたものの、この2位グループの5曲は、第2番、第5番、第14番等、第1番等、 華やかな技巧系の作品ばかりとなっている点は注目できると思います。 特に、第2番、第5番、第14番等は、1位票数が 10票を大きく超えており、総得点に比して1位票数の割合が多いことが注目すべき傾向と言えると思います。 こうした華やかな 作品は支持者と不支持者とに大きく2分される傾向が強いと言えそうです。 このような華やか系の作品の間に、このグループ中、 唯一挟まった抒情系作品である、優雅で美しいワルツ第9番「別れのワルツ」は、1位票数こそ少ないものの得票数自体は多く、穏やかな人気を集める 作品という傾向があることがこの結果からも分かりますね。 第7位の第6番「小犬のワルツ」と第8位の第3番は、今回のアンケートでは、近い得点の曲がない、言ってみれば、 「過疎地帯」にポツンと点在した2曲という感じですね。 「小犬のワルツ」は、一般的な認知度が極めて高い曲ではありますが、 上記のような、中身の濃い作品に比べると内容的には一歩譲らざるを得ないようで、訪問者の方々が認知度に振り回されないで、 しっかりとした好みによって順位付けをしていただいた結果が現れていると思います。 一方第8位の第3番は、作曲家のショパン 自身がことのほか好んでいたと言われる作品ですが、非常にシンプルな音列の中にショパンの心の機微が見事に埋め込まれた 佳作で、この地味な作品がこの順位に入り込んだのは、意外な「健闘」だったと言えるかもしれないですね。 第9位〜第11位に入った、ワルツ第10番、第13番、第4番は、総得点では僅差であり、事実上、この3曲が 9位グループと考えられます。 独特の哀愁漂う初期の佳作第10番、片想いの女性への憧憬が色濃く現れた優美でロマンティックな 第13番、快活で華麗な第4番、それぞれに傾向の異なった作品で、魅力的な作品ではあるものの、やや人気が振るわなかった ようです。 最後に、ラストグループは、総得点が100点を大きく下回った、第12位〜第14位の、第8番、第12番、第11番でした。 この3曲も僕自身にとってはかけがえのない作品であり、改めて6曲に絞り込むことの難しさ、そして不本意にも選外に追いやらなければ ならなかった作品たちへの同情の念を禁じえないです。 第8番の爽やかにして優美な雰囲気、意外性のある転調は他の作品からは 得られない新鮮な魅力に満ちていますし、第11番の中間部の斬新な和声も心の琴線に触れるものがありますね。 第12番の とりとめのない和声進行も、ショパンの心の微妙な揺れ動きを反映して何とも魅力的な音楽だと思います。 今回のアンケート集計結果はあくまで、協力していただいた皆様の好みによるもので、下位の作品が劣っているという ことでは決してありませんので、誤解のないようにお願いします。 公開しないで欲しい、という方は、管理人まで申し出てください。 確認の上、削除します。 また、逆にここに載せてほしいという方がいましたら、同様に管理人まで申し出てください。 お名前 1位 2位 3位 4位 5位 6位 Mさん 9 7 2 1 5 6 ラティウスさん 2 1 4 11 7 6 ムラヴィンスキー狂さん 5 13 14 2 9 1 たろうさん 7 13 9 5 12 6 カロンさん 7 14 2 3 9 10 たこさん 7 9 10 5 1 3 さくらこさん 7 4 10 9 1 6 大井さん 13 7 8 6 9 1 momoさん 9 2 5 13 14 10 cake(けいく)さん 7 10 3 2 1 5 おっきーさん 2 5 13 11 4 12 ゆーき。 さん 5 12 10 2 14 7 ジャンさん 9 6 1 7 8 2 まとさん 7 9 2 6 3 1 みもざさん 7 3 6 1 12 9 みどりのマキバオーさん 3 7 8 10 6 12 横山さん 10 7 1 3 4 14 KYURIさん 14 7 2 5 1 6 やすべえさん 7 14 2 9 6 10 ショパンのとりこさん 10 3 9 5 7 8 綾さん 9 7 10 5 2 14 管理人 2 5 7 13 1 10 コメント こうしてみると、やはり誰一人として同じ選曲をしている人はいないですが、全体的に見て、やはり第7番の人気が圧倒的ですね。 個性的な選曲をしている人から、今回の集計結果に近いオーソドックスな選曲をしている人、華やかな技巧系の作品を優先的に選んだ方から、 抒情系の作品を中心に選曲した方まで、いろいろいて、個人の好みが反映された結果になっていますね。

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ショパン 19番

ショパン ワルツ解説 ショパン:ワルツ Frederic Chopin : Valse ワルツは皆さんよく知っている三拍子の舞曲です。 日本でワルツというと、ほとんどの人はウィンナワルツ(ウィーン風のワルツ)を想像すると思いますが、ショパンのワルツはウィンナワルツとは少し様相が違います。 ショパンはピアニストを目指していた20歳前後にウィーンに滞在し、同地での音楽家活動を模索したことがありましたが、うまくいきませんでした。 ありていに言ってしまえば、ウィーンはショパンを拒絶したのです。 ショパンのピアノ奏法は繊細なニュアンスを重視していたため、当時ウィーンで流行していた華麗なヴィルトゥオーゾ(超絶技巧系の名人芸)からは程遠かったことと、オーストリアがポーランドに対して政治的に敵対関係を取ったことがその理由と言われています。 音楽の都での成功を夢見たショパンはウィーンをあきらめ、フランスへと旅立つことになります。 <コラム:ウィンナワルツについて> ウィンナワルツの巨匠といえばヨハン・シュトラウス2世(1825年生まれ)が有名ですが、ショパンが活躍した頃はちょうど父親のシュトラウス1世(1804年生まれ)の時代にあたります。 現在では2世の方が有名ですが1世も大変な売れっ子作曲家で、シュトラウス父子のワルツやポルカは当時の最新ポップスだったことを意識しておく必要があります。 この点は注意が必要です。 ショパンのワルツを理解する手がかりは、たとえばウェーバーの「舞踏への勧誘」などになります。 この曲は舞踏会へと向かう男女の気持ちを表現したものであり、舞踏用の音楽ではないのです。 ウェーバーはこの曲を奥さんに献呈しており、舞踏会へ向かう男女とは実はウェーバー夫妻にほかならないという大ノロケなオチのついた曲だったりしますけどね(笑)。 ショパンはポロネーズ、マズルカ、ワルツと三拍子の舞曲を好んで書いています。 ポロネーズでは民族意識を芸術作品として結晶化し、マズルカでは素朴な望郷の念を歌っています。 そこに含まれるポーランド風の旋律やリズムは、フランス人には歴史深い異国を想像させ、ポーランド人には郷愁を思い起こしたことでしょう。 しかし、ポーランド風の曲ばかり書いていては外国での受けが悪いという配慮も働いたに違いありません。 サロンに集う人の気を引くには、気軽に聞いてもらえて、なおかつ少しだけ下世話な要素も必要なのです。 ワルツは男女の出会いの場である舞踏会のための曲ですから、本来猥雑な要素が含まれます。 ショパンは強い美意識を持っていたため音楽において猥雑な表現を避ける傾向が強く、ワルツなどは積極的には作りたくなかったと思うのですが、その反面、私生活においては派手好きで、おしゃれ好きで、しょっちゅう夜会に繰り出しては朝まで遊んでいたようです。 残された手紙などから推測すると、結核が表面化する以前(ジョルジュ・サンドとマジョルカ島へ旅立つまで)は身体的にも絶好調だったようで、都会生活を謳歌していたことが伺えます。 派手好きなショパンは、ついにワルツの魅力に抗うことはできなくなります。 夜会での華やかに着飾った女性、格好つける男たち、高揚する気持ち…そういう要素を抽出して、小粋なワルツを作り始めます。 しかしショパンはすぐにそういった表面的な気分を表現したワルツでは満足できなくなってしまいます。 三拍子のリズムをきっかけに次々といろいろな楽想が登場するワルツは、移り変わり行く心情の表現にも適しています。 そのため、ショパンは次第に自分の心を反映したワルツを作るようになります。 ショパンの心を反映した小品という点で、マズルカとワルツは似ています。 実際、ショパンのワルツにはマズルカ風のリズムが混ざる作品もあります。 そのためか、「私がワルツを作ると、どういうわけかマズルカになってしまう」という、自嘲気味な言葉も残っています。 ショパンのワルツはその曲調から華やかなワルツ(Valses brillantes)と、叙情的なワルツ(Valses lyriques)に大別することができます。 叙情的なワルツは演奏難易度が低いにもかかわらず深みのある作品が多いため、ピアノ初心者〜中級者のショパン入門曲としても適しています。 なお、通常出版されている楽譜には14曲あるいは17曲のワルツが収載されています。 存命中に出版されたのはそのうち8曲で、没後フォンタナによって6曲が出版されました。 その後、さらに3曲が発見されています。 そのため、「ショパン・ワルツ全集」というタイトルが付いたCDも14曲だったり17曲だったりしますので注意が必要です。 さらに、この17曲以外にも草稿が2曲存在しており、紛失した作品が3曲あります。 華麗なる大円舞曲 Grande Valse brillante Op. 18(第1番) 次々と異なる楽想が登場しては移り変わっていく、いわゆるGrande Valse様式の曲です。 フランスに移住してから出版されていますが、ウィーン滞在時に作曲しています。 ショパンもウィーンで成功するためにはワルツが必要だと考えたようです。 そのためシュトラウスの影響が濃厚で、ショパンのワルツの中で最もウィーンっぽさを感じさせる曲になっています。 ただ実用的な舞曲ではなく純粋な器楽として書かれているところがポイントです。 とても華やかな雰囲気でまとめられており、マズルカっぽさも皆無な、都会的な曲と言えるでしょう。 ショパンでは珍しい同音連打が多用されており、コケティッシュな雰囲気を生み出す要因になっています。 華麗なる円舞曲 Valse brillante Op. 34(第2番〜4番) Op. 34-1はOp. 18と同じ要領で曲を始め、ABCBAコーダという循環形式で書かれるなどウィンナワルツ調というかGrande Valse様式を残していますが、すでにマズルカ調のリズムが出はじめます。 34-2は中低音でスラブ的な物悲しい旋律が歌われるValses lyriquesの名曲です。 この曲は非常に有名ですが、ショパン自身も大変気に入っていたようです。 コーダの展開(ホ長調で歌いまくり)が意表をついていて面白いと思います。 34-3はValse brillanteの小品で、後の小犬のワルツを先取りするような雰囲気があります。 大円舞曲 Grande Valse Op. 42(第5番) ショパンの天才性が発揮された曲で、演奏難度が高いです。 主題がいきなりヘミオラ風はじまったかと思えばアルペジョが自在に駆け回り、そうかと思えば濃厚な歌があり…と、諧謔的というかカプリッチョ的な要素が全面に出ています。 各ブロックの繋ぎが抜群に上手く、曲想が次々移り変わる気まぐれな雰囲気がうまく演出されています。 コーダに入る前(250〜260小節)がびっくりするほどの転調の嵐になっているのもポイントですね。 Valses brillantesとしては第1番よりずっと出来がよく、傑作だと思います。 ワルツ Valse Op. 64(第6番〜8番) Op. 64-1は「小犬のワルツ」として知られ、Op. 64-2も非常に有名な曲ですが、3曲を連続して演奏したときのまとまりのよさも特筆されるショパン円熟期の名作です。 叙情的なOp. 64-2は付点音符で跳ねるマズルカ的な旋律が印象に残ります。 64-3は高度な転調を多用した非常に完成度の高い曲ですが、やはりマズルカ調のリズムが鳴っています。 この作品が書かれた時期、ショパンは体調が悪化していきジョルジュ・サンドとの仲も険悪だったようなのですが、曲を聴く限りそのような暗さはほとんど感じられません。 ワルツ Valse Op. 69(第9番、10番) これ以降はすべてショパンの没後に出版された曲となります(Op. 69と70は幻想即興曲とともにフォンタナによって出版されました)。 69-1は「別れのワルツ」とも呼ばれます。 静養に訪れたドレスデンを離れるとき、同地で恋に落ちて婚約者となったマリア・ヴォジンスカに捧げられたことから「別れ(告別)」というタイトルが付いています。 その後ヴォジンスカとの婚約が破局したことで、いっそうのドラマを有することになりました。 69-2はワルシャワ時代に作られた物悲しい叙情的なワルツ。 19歳の青年らしい感傷的な旋律が印象的ですが、掛留音が多く意表をつく転調なども含まれ、ドラマチックな構成になっています。 ワルツ Valse Op. 70(第11番〜13番) Op. 70-1は3拍目がポンと上がる旋律です。 3拍目にアクセントが付くことや跳ねるリズムから、Valse brillantesというよりマズルカ(オベレク)の雰囲気を感じさせます。 70-2はこれまた有名なValses lyriquesで、スラブ的なほの暗さをもった甘美な旋律が印象的です。 この曲にはより平易なバージョンもありますので、初心者の方でも弾きやすいと思います。 70-3はOp. 69-2と同時期に書かれています。 要するに当時恋していたコンスタンチア・グラドコフスカを想って書いているわけです。 全編がポリフォニーになっている珍しいワルツで、聴いた感じよりも演奏は難しいです。 ワルツ遺作 Valse Op. post. (第14番〜17番) 14番は非常に有名で、かなり切迫感を持った短調で始まるけれども曲調はValse brillantesという面白い発想です。 これもOp. 69-2と同時期での作曲ですが、ピアノの幅をいっぱいに使うアルペジョや外側から指を巻き込むようなフレーズの作りがピアノ協奏曲にも通じており、技巧的に難しく演奏効果の高い曲になっています。 あと、ここまで見てきてわかるように、恋愛を作曲動機にしたワルツは大事に仕舞っておいて生前には出版していません。 恋愛に対して積極的になれなかったショパンの性格を反映しています(笑)。 15番はマズルカ風の中間部をもつ小品ですが、作風は平易です。 16番は同じ音型が繰り返されるエチュード的なワルツで、演奏指示がほとんど書かれていないこともあり、習作あるいはスケッチと思われます。 17番は右手が延々2声体で奏されるワルツで、やはりエチュード的な要素があります。

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ショパン「夜想曲(ノクターン)第20番」(遺作)解説と無料楽譜

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> > ショパン・ノクターン(夜想曲) ショパン・ノクターン(夜想曲)全21曲 ショパンのノクターン(夜想曲)について 作品の特徴: ・甘美な旋律の宝庫 ・ショパンの「ピアノの詩人」としての持ち味が最大限に発揮された作品群 「ノクターン」という呼び名は、邦語では「夜想曲」と訳されるように、「夜を想う曲」というのが語源にもある ようです。 しかし、ショパンのノクターンを聴く場合、必ずしもその語源にこだわる必要はないと 思います。 ほの暗く物憂い雰囲気の、いかにも夜想曲風の作品もあれば、朝露の滴る若葉を 見るような、あるいは晴れやかな青空を見上げるような爽やかなノクターンもあります。 ショパンのノクターン 夜想曲 は、アイルランドの作曲家ジョン・フィールドの影響を強く受けている と言われています。 左手の定型の伴奏の上に、右手で、甘美で感傷的な旋律を歌うその技法は、ショパンのノクターンの、 特に初期の作品で頻繁に用いられています。 そのため、彼の初期のノクターンに関しては、やや独創性に欠けていると評されることもありますが、 絶え間なく涌き出る甘美な旋律をそのまま作品として書きとめることのできるノクターンという作品群 は、ショパンのピアノの詩人としての一面が最もよく現れたものであったように思います。 ショパンのノクターンはほとんどの作品が3部形式を採っており、傑作と呼べる作品のほとんどが、 優美な旋律の流れる主部と情熱的な中間部のコントラストの妙で、作品の完成度をより高いものとしています。 フィールドの影響を受けつつも、独自のピアノ音楽を作り上げたショパンが、この作品群において 到達した至高の境地は、第8番変ニ長調Op. 27-2や第13番ハ短調Op. 48-1を頂点として、第4番ヘ長調Op. 15-1、第5番嬰ヘ長調Op. 15-2、第7番嬰ハ短調Op. 27-1、 第12番ト長調Op. 37-2、第16番変ホ長調Op. 55-2、第17番ロ長調Op. 62-1、第18番ホ長調Op. 62-2などの珠玉の傑作の中で最高度に発揮されているようです。 また彼のノクターンでは、短調の調性を強引に同名長調に変えて終了させる、いわゆる「ピカルディの3度」と いう技法を用いたものが多くなっています 主音から第3度の音を半音上げることからそう呼ばれているらしい。 その何とも言えぬ脱力感、無重力感は、神経を麻痺状態に 落とし入れる魔力を持っていて、聴いていて不思議な感覚になります。 ノクターン第1番変ロ短調Op. 9-1 作曲年:1830-31年 3部形式 但し「静-静-静」 で書かれています。 ジョン・フィールドの影響を受けていて独創性は若干乏しいものの、 主部の、ほの暗い情緒と極上のロマンに満ちた旋律は惚れ惚れするばかりの美しさで、非常に分かりやすく 親しみやすい作品です。 中間部は平行調の変ニ長調で、幅広い左手の伴奏の上に、右手がオクターブで 優美な旋律を奏でます。 技術的にもショパンのノクターン中比較的容易なため ピアノ学習者にも人気のある作品です でも左手の伴奏は結構音域が広いから手が小さい人には難しいのでしょうね。 この一曲をものにするだけでも、ショパンの歌心、節回しといった 表現技術が相当身につくと思います。 ショパンのノクターンを初めて手がける人には第2番、第20番とともに この曲をお薦めしたいです。 技術的な課題は、幅広い左手の伴奏音を確実にとらえられるようにすることが第一だと思います。 その人に合った運指を見出すことも大切です(冒頭の左手の伴奏は、531213という運指が一般的のようですが 僕は中指が短いこともあり、531214の方がはるかに弾きやすくこの運指で弾いています)。 あとは、右手に登場する不規則な速いパッセージ(11連符、22連符、20連符など)を集中的にさらって しっかり粒を揃えて弾けるようにすることも重要なポイントだと思います。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第2番変ホ長調Op. 9-2 作曲年:1830-31年 ショパンノクターン中、我が国では最も人気のある作品。 映画「愛情物語」で使われて一躍人気と なったようです。 この曲は、冒頭で示される変ホ長調の主題が少しずつ形を変え、装飾を加えられながら 何度も登場させるロンド形式で書かれています(以前は「変奏曲形式」と書きましたが、 どうも僕自身の認識の間違いだったようで、これを読んでくださった皆さんにはお詫びしたいと思います。 ) この曲は、彼のノクターンの中では演奏も容易なため、ピアノ学習用としても 頻繁に用いられているだけでなく、「ショパン名曲集」と銘打つレコードに収められる作品の定番中の 定番としての絶対的な地位を揺るぎないものとしています。 オルゴールや電話の取り次ぎ用の音楽としても しばしば用いられ、そのポピュラリティはベートーヴェンの「エリーゼのために」に迫ろうかという勢いです。 作品内容を冷静に振り返って見ると、曲の人気度が一人歩きしてしまっている感が強く、きっと ショパンが今の時代に生きていて、この事実を知ったとしたら驚くと同時に、苦笑いしてしまうでしょう。 この曲はショパンのノクターンの中では最も弾きやすい曲の1つだと思いますが、 技術的な課題は、強いて言えば、この曲を3拍子として考えたとき、左手の伴奏で1拍目と2拍目の跳躍が大きいというのと、 やや和声が複雑なため覚えるのに少々時間がかかる場合があるということです。 あとは最後の方に登場する速い繰り返し音型を粒を揃えて淀みなくきれいに弾くこと、 繰り返し回数を間違えないこと(プロでも間違えている人がたまにいます)ですね。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第3番ロ長調Op. 9-3 作曲年:1830-31年 この曲はかなり大規模なノクターンで、ショパンの初期のノクターンの傑作です。 作品9の集大成的な意味もあると思います。 やはりこの曲も三部形式で書かれていますが、穏やかな情緒の支配する、ロ長調の主部(A)と、 激しく暗い情緒の支配する中間部(B を著しく対比させるという手法をこの曲で初めて採用し、 これは後の彼のノクターンにおいてしばしば用いられた作曲技法です。 その意味で、いわばこの曲は、ショパンのノクターン名作の原点とも言えると思います。 主部はロ長調で、やや動きを伴い、穏やかで明るい情緒が支配しています。 左手の伴奏型は音域が広く、特に第2音と第3音がオクターブの広がりを持つため、慣れるまでは少し弾きにくいです。 また右手には不規則な速いパッセージが数多く登場するので、そこだけを取り出して何度も集中的に さらうのが効率の良い練習方法だと思います。 この配列は自分で発見した規則性があるのですが、漫然と聴いていると絶対に覚えられない部分ではないか、と思います。 この曲を弾く人だけ意識する問題ですね。 一方、中間部は、左手の動きが重要なポイントです。 2指が1指を超えて、さらに1指が2指の下をくぐる、という動きを しますが、ここは「くぐり」ではなく、瞬間移動で代用する弾き方の方が上手く弾けます。 覚えにくい部分なので、ここだけを取り出して集中的に弾き込む必要があると思います。 以上のことに注意して練習すれば、かなりの完成度が期待できると思います。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第4番ヘ長調Op. 15-1 作曲年:1830-31年 3部形式。 主部の、潤いに満ちたヘ長調の旋律は、雨上がりの青空から差し込む柔らかな日差しの下、新緑の木の葉から雨のしずくが 滴り落ちる様を表しているかのようです。 聴くたびに心が洗われるような、純粋で清清しくも爽やかで 美しい旋律です。 しっとりとした潤いのある美しい音色で1音1音を紡ぎだすような弾き方で演奏する必要があると思います。 この部分の技術的な課題は特にないと思いますが、左手の伴奏型は、「雨だれの前奏曲」同様、 遅い連打が登場するため、きちんと粒を揃える意識を持って、注意深く弾く必要があると思います。 一方、中間部は何の前触れもなく突然のごとく轟く雷のように始まります。 その著しい対比は、バラード第2番を想起させるものがあり、まさしく「青天の霹靂」という形容がふさわしいですね。 この部分は技術的にもやや敷居が高く、弾ける人は難なく弾けても、弾けない人はかなり辛い思いをするという、 ピアノ弾きにとってはやや酷な部分だと思います。 課題は右手の動きに尽きると思いますが、 右手で14指-25指、あるいは13指-25指のトリルが力強く速くできない場合、かなりの苦戦が予想されます。 さらに、2指と5指が広がらない場合、上に書いた動きができたとしても、やや無理が生じることがあると思います。 その場合、この曲は一旦パスして、指が出来上がってきたと思ったら、再度取り組むと良いと思います。 この曲は、個人的には非常に好きなノクターンですが、演奏する人にとっては、やや敷居の高い曲です。 ノクターン第5番嬰ヘ長調Op. 15-2 作曲年:1830-31年 ショパンのノクターンの中では非常に人気の高い作品で、傑作の一つに数えられます。 3部形式の主部 は、いささかの感傷もないひたすら優美な旋律が鳴り響きます。 右手のパッセージも半音階的な装飾など 非常に手の込んだものとなっており、ピアニスティックな魅力に満ち溢れています。 対する中間部は Doppio movimentoの表示通り、動きを伴っていますが、右手の5連符の中に埋め込まれた旋律は、ひたすら 優美で華麗であり、後半に向けて、徐々に感情を高ぶらせてクライマックスに向けて盛り上げていく ように演奏する必要があります。 その抑揚のつけ方がこの作品の演奏の最大のポイントだと思います。 この作品ほど暗い蔭りを感じさせずに優美さのみを聴く人に印象付けるものはないと思います。 ところで、この曲の技術的な課題ですが、まずはDoppio movimentoの中間部をしっかりつぶすことに尽きます。 1指-4指、1指-5指のオクターブ、分散オクターブによって旋律を作って際立たせ、それ以外は旋律を 浮き立たせる脇役的な音として聴かせなければならないのですが、それを考える以前に 技術的にきちんと弾くのがかなり難しい部分です。 また、その前後の主部に登場する速いパッセージ、 特に後半の分散6度の半音下降音型はかなり弾きにくいです。 ノクターン第6番ト短調Op. 15-3 作曲年:1833年 僕自身の本音を言ってしまうと、ショパンのノクターンの中では個人的には最もつまらない、と思っている曲です。 3部形式の主部は、3拍目が休符という左手の一定の音型の伴奏の上に、右手でほとんど装飾音も 装飾的パッセージもない至極単純な旋律を奏でます。 対する中間部は、へ長調で始まるコラール風の 和音が並び、その静かで単純な響きからは宗教的な色を強く感じます。 この曲に限らず、ショパンの 初期のノクターンはピカルディの3度という終止法が取られており、この曲も同名長調のト長調で終わります。 ノクターン第7番嬰ハ短調Op. 27-1 作曲年:1835年 3部形式 ABA の主部 A では左手の幅広い伴奏の上に、右手が嬰ハ短調とホ長調の間を行き来する 不安定な旋律を奏でますが、そのほの暗い情緒はまさしくノクターンそのもので、ここは極上の音色で 静謐に奏でる必要があります。 その意味で、ショパンのノクターン全曲中、これほど「夜」のイメージに ふさわしい曲はないのではないか、とさえ思います。 ショパンの「月光」とでも名付けたくなるような曲調です。 対して、中間部は、同じく嬰ハ短調に始まり、非常に情熱的です。 左手の伴奏の上に、右手が強烈な和音を叩き付けることにより、そのパッションは高揚、大爆発し、大きな クライマックスを迎えます。 この最後の長調の部分は惚れ惚れとする美しさ、情趣で、 余韻を残したまま、恍惚とした趣で静かに終わります。 この最後の部分に惹かれている方も多いのではないか、と思います。 個人的にはノクターンの傑作の一つです。 ノクターン第8番変ニ長調Op. 27-2 作曲年:1835年 1小節の序奏の後、そっと語りかけるように始まる変ニ長調の夢見心地の旋律は、聴く人を一瞬にして 惹き付けます。 その微妙なハーモニーの移ろいが何とも切なく、変ロ短調から変ホ短調に転調する瞬間は、 モノローグではなく、誰かに訴える静かな叫び声に変わっています。 実はこの曲を初めて聞いたとき、 この部分で、ビビビっとしびれてしまい、末梢神経を完全にやられてしまいました 笑。 本当に 美しく甘く、そして一抹の切なさと不安をもないまぜにしつつ、恍惚とした極上の旋律が絶え間なく 流れていきます。 こんなに美しい旋律がこの世にあってよいのか、というのがこの曲を初めて聴いたときの 第1印象でした。 そのためこの曲は僕の中では、第13番ハ短調Op. 48-1と並んでショパンのノクターン21曲中 ベスト2です。 変ニ長調のF音をE音に変えること等による単純な遠隔転調により、中間部はイ長調で始まりますが、 ここでもショパンのノクターンによく見られるような、主部と中間部の静と動の対比の妙があります。 それも平穏な感情から次第に高揚してどうしようもないほど感情を高ぶらせながら、せき込んでそのまま 主部の再現部に突入する構成は、ショパンのノクターンの中では特異な技法と言えます。 その中間部後半の感情の高ぶりは、不安定な和声と調性感がもたらす必然的なものであるため、そこを 「それが条理である」という感覚を聴く人に与えながら演奏するのが課題となります。 ショパンのノクターン中、非常に充実した作品で、最高傑作の一つに数えてよいと思います。 なお、この曲は、大部分は技術的にそれほど難しいと思いませんが、ただ1箇所、52小節目の48連符(の前半)が 非常に難しく、ここの難易度が高いため、技術的に難しい作品と位置づけています。 この曲に取り組む方は、全体を弾けるように維持しておく一方で、52小節目の前半は、これでもかというくらい 集中的に練習して技術的にしっかりつぶせるように頑張ってください。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第9番ロ長調Op. 32-1 作曲年:1836-37年 極めてシックで落ち着いた雰囲気のノクターン。 全音楽譜の解説では「夢見るような」という表現 が用いられていますが、僕自身はそうではなく、この曲のロ長調の第一主題は、物語を語るような口調で静かに穏やかに 語りかけられているような感覚です。 この作品では、楽句のところどころにフェルマータと突然停止 があり、音楽上の意味を考えるといろいろ不明な点があります。 しかし、逆にこの部分にフェルマータと突然停止 がなかったら、確かに何とも平凡な音楽に聞こえてしまいますね。 その平凡さを隠すためのショパンの 苦心といったものが見て取れるので、聴いていて疲れてしまうことがままあります。 楽想的にはやや 物足りない感じで、個人的には、彼のノクターンの中では平平凡凡という位置付けです。 なおこの曲は コーダでいきなり短調に転調して劇的に終わります。 ショパンもこの曲に何か変化を付けたかったのでしょうね。 実はこの曲の最後の終止和音には2種類の版があって、僕が持っている楽譜では、全音楽譜がロ長調、 パデレフスキ版がロ短調となっていますが、ロ短調で弾くピアニストが多いようです。 なお、この曲の難易度はノクターンの中でもかなり易しい部類で、何か1曲ノクターンを弾きたい、 入門用のノクターンを探している、という方には、2番、15番、20番とともにこの曲をおすすめしたいと思います。 「平凡な楽想」と書きましたが、それでもショパンの旋律を歌うという意味では、この1曲から 学ぶものは結構多いと思います。 ノクターン第10番変イ長調Op. 32-2 作曲年:1836-37年 何とも変わった序奏の後、主部では、その序奏とは関連性の薄い楽句が示され、左手の3連符の 伴奏の上に右手で単純な旋律を奏でます。 やや動きを伴った 「動的」なノクターンで、そのせわしなさがユニークです。 対する中間部では、へ短調に転調し、 情熱的な和音の連続となります。 後半は半音高い嬰へ短調に転調してほぼ同じものが繰り返されますが、その やるせない感情のどうしようもない高ぶりは、本曲の最高の見せ場であり聴かせどころです。 主部の再現部では、ほぼ同じものが繰り返されますが、なんと、序奏で現れた楽句がそのまま最後に 使われて終わります。 そういう「仕掛け」だったわけですね(笑。 技術的な課題は、中間部で連続する装飾音攻撃(?)に尽きると思います。 運指やピアノアクションによっては音が鳴りにくい場合もあるため、ここは少し神経を使うことになると思います。 それと、中間部のヘ短調、嬰へ短調それぞれの部分の終わりのところはやや覚えにくく努力を必要とする部分だと 思います。 練習のポイントとしては、特に中間部に時間をかけて弾き込む必要があると思います。 ノクターン第11番ト短調Op. 37-1 作曲年:1838年 この作品も、第6番ト短調Op. 15-3と並んで、ショパンのノクターンの中では独創性に欠けると感じる 作品です。 曲は静-静-静の3部構成 ABA' で、主部Aではト短調と変ロ長調の間を揺れ動きながら、幾分哀愁の漂う 単純な旋律が耳に心地よく、手の込んだ装飾音が彩りを添えます。 対して中間部 B は、変ホ長調に 転調し、コラール風の静かな4分音符の和音の連続となります。 そのいくぶん瞑想的で単純な 音型には宗教的な雰囲気を強く感じます。 主部が同じト短調で再現された後、最後は「ピカルディの3度」を用いてト長調で 終わります。 ショパンのノクターンの中で最も単純で変化に乏しい作品だと思います。 ノクターン第12番ト長調Op. 37-2 作曲年:1839年 非常に明るい情緒に満ちた舟歌風のノクターン。 全てのものがバラ色に見えたマジョルカ島への船旅の情緒を 感じさせます。 澄みきった青空の下、紺碧の地中海に浮かぶエメラルドグリーンのマジョルカ島へ向かう ショパンの笑顔が光り輝いているように感じます。 ト長調の第一主題は、そのような ひたすら喜びに満ち溢れた美しい旋律ですが、その穏やかな響きの影で演奏者がどれだけ泣いている ことか。 3度や6度が連続し、ここを何の苦の後も感じさせずにさりげなく涼しげに喜ばしく弾くことがどれほど 難しいことか。 ハ長調で始まる和音中心のもう一つのゆっくりした主題は、ポーランドの民謡からの 引用といわれていますが、その単純な響きには宗教的な趣を感じます。 とにかく、この曲はト長調の第一主題!!。 こんなに明るくも感動的な旋律はないですよ。 個人的には 非常に好きな作品で、ノクターンの傑作の一つに数えています。 ノクターン第13番ハ短調Op. 48-1 作曲年:1841年 ショパンノクターン全21曲の中の最高傑作。 他の多くのノクターンと同じ3部形式 ABA' で書かれていますが、 その構成は、従来の静-動-静という単純な構成とは異なっています。 左手の低音オクターブと中音の和音が交互に現れる静かな伴奏 に乗って、右手で奏でられる旋律からは、澄んだ夜空を見上げているときに感じる「恒久」の感覚、あるいは 静かな時の流れといったもの感じます。 その独自の美学に貫かれた旋律は、聴く人を恍惚状態に陥れ、有無も 言わさずその世界に引きずり込んでしまう魔力を放っています。 中間部はハ長調の静かな分散和音に 始まり これが技術的には案外な曲者 、3連符のオクターブが現れ、中間部のクライマックスを迎えます。 しかし、この曲の最大の聴き所は、その後の主部の再現部A'で、ここはA部で示されたものと同じ旋律が、 絶妙のハーモニーを伴った 右手、左手の3連符の和音によって色付けされていきます。 前半部Aでは、消えゆくだけのはかない旋律 であったものが、ここでは静かな、しかも美しい伴奏に支えられて、より細かな和声の変化が彩りを添えます。 その極上のハーモニーは、最後、こみ上げる感情とともに一気に最高潮に達し、その高々と鳴る 痛切な和音の連続は、聴く人の感情をいやがうえにも高ぶらせます。 そのゴージャスにして悲痛な ハーモニーは、非常に分かりやすく万人を惹きつける魅力を放っています。 個人的にはショパンの創作の中でも最高傑作の一つに数えています。 なお、この曲は、技術的には非常に難しく書かれており、主部から中間部に移行する経過句であるハ長調の音域の広い アルペジオもさりげなく難しいですし、中間部のオクターブ連続部もピアノ鍵盤の位置感覚を身体で覚えていないと ミスをせずに弾くことが難しい部分です。 そして主部が戻ってきた後に数回登場する右手の和音の速い連続部が最高の難所です。 ここを素人離れした弾き方をする場合、 軽く力を抜いた上で旋律の最高音だけをきれいに出して歌う、という芸当をやってのける必要があります。 皆さんも、是非、チャレンジしてみてください。 結構難しいですよ。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第14番嬰ヘ短調Op. 48-2 作曲年:1841年 ノクターンの最高傑作の1つであるノクターン第13番の姉妹作で、この14番は、二次的な作品とも考えられています。 静-静-静 ABA' の3部形式。 短い序奏の後に示される嬰へ短調の旋律は、静かな独り言といった趣で聞こえて きます。 繰り返し単位の中でも同一音型が繰り返されますが、1回目は語りかけるように、2回目は呟くように と微妙に表情を変えて、その表情の変化を聴く人に意識させる必要があります。 そのためには ピアノという楽器から産み出される微妙な音色の変化、アナログ的な中間色といったものを熟知 している必要があります。 単純なようでいて 案外「含み」が多く、その微妙な表情の移ろいを音楽的に完璧に演奏するのは、意外に大変なようです。 中間部は、3拍子となって、基本的に1,2拍目は和音、3拍目は5連符とややユニークな楽句となっています。 音楽的にはあまり充実していないように感じます ここが好きだという方、いますか?。 主部の再現は大幅に省略され、変わりに新たな楽句が登場しますが、特筆すべきは、一瞬左手が止まって 右手だけのメロディーになるところです。 ここの弾き方一つで演奏者の才能が分かってしまうようです。 ショパンという人も恐ろしい試金石を埋め込みましたね。 作品の完成度、魅力といった点では若干物足りない 作品のようですが、演奏者に優れた感覚を要求する、音楽的に厳しい作品のようです。 この曲を弾かれる方は、くれぐれもご注意を 笑。 ノクターン第15番ヘ短調Op. 55-1 作曲年:1843年 3部形式の小品。 主部では、孤独なモノローグといった趣のもの憂いヘ短調の旋律で静かに始まります。 平行調の変イ長調からハ短調に転調すると思わせて、瞬間的にハ長調を経て元のへ短調に戻るなど、 作曲技法的に見ると面白い要素がありますが、独創性には欠けるようです。 中間部は、和音と力強い ユニゾンが対話するように交錯し、次に左手の3連符-4分音符という音型の繰り返しの上に右手で 悲痛な旋律を奏で、次第に高揚してクライマックスを迎えます。 ここがこの作品の唯一といって いいほどの最大の聴かせどころです。 主部の再現は非常に短く、主題が短く再現された後、 右手の旋律が3連符に変化し、徐々に急き込んでアッチェレレンドし、最後はヘ長調に転調して キラキラとした美しい粒立ちのアルペジオが高音まで駆け上がって、静かな和音とともに消えるように終わります。 ところで、この曲は、中間部が多少難しそうに聴こえますが、実際に弾いてみるとそれほどでもなく、 きちんと確実に音を拾っていけば、確実にものにすることができる曲だと思います。 その意味では、ノクターン2番、9番、20番と並んで、最も易しい部類に属するノクターンだと思います。 ノクターン入門用の1曲としても、皆さんにおすすめしたい作品です。 ノクターン第16番変ホ長調Op. 55-2 作曲年:1843年 この作品には例外的に決まった形式がなく、即興的な趣を持っています。 序奏もなく流れるような左手のアルペジオ の上で奏でられる右手の旋律は、優美で流麗であり、聴く人を恍惚状態に陥れるほどの魔力を放っています。 しかし、音型は変化しなくても、和声は時々刻々と微妙に移り変わり、 一時として安定しないのは、ユニークであり、いかにも独創性を心がけたショパンの楽曲といった趣です。 私が何度も言っていることですが、和声の変化を敏感に感じ取り、それをテンポ アゴーギク 、強弱 デュナーミク に 一対一に結び付けて、いわばそれが条理である、といった感覚を聴く人に与えるように演奏する必要があります。 とくにこの作品の場合、それを徹底して行わないと、聴く人を確実に眠らせます。 実際そういった演奏が多いのは 残念なことです。 ショパンの音楽の語法に精通しているピアニストの演奏ならば、この作品は、彼のノクターンの 中でも屈指の名曲として聴こえてくるはずです。 ところで、この曲の難易度ですが、これは耳に聴こえる以上に難しい曲です。 左手の伴奏の音域が広い上に、右手と左手の1指どうしが頻繁に重なり合うため、 油断をすると音を外しやすいです。 また暗譜が非常に難しい曲でもあります。 安定したテンポでミスなく最後まで弾き切ることをもって「弾ける」と定義するのなら、 この曲が「弾ける」ようになるのは、かなり大変なことだと思います。 「我こそは」と思う方は、是非、取り組んでみてください。 ノクターン第17番ロ長調Op. 62-1 作曲年:1846年 アルペジオの雄大な響きの序奏から聴く人を惹きつける魅力を持ったノクターン。 ジョルジュ・サンドとの 破局が現実のものとなり、失意と孤独の最晩年を迎えようとしていたショパンの孤独感と諦観が昇華した作品 と考えてよいと思います。 3部形式の主部は、落ち着いた雰囲気のロ長調の旋律で始まりますが、嬰ト短調に 転調する直前以降の、何とも言えぬ、こみ上げる悲しみを涙色で染め上げたような和声は、とてもこの世の 音楽とは思われない程の美しさで、私はここを初めて聴いたとき、半分金縛り状態に陥った記憶があります。 本当に作曲家ショパンに霊魂が乗り移ったかのような天才的な和声がこれでもかこれでもか、と続きます。 対して中間部では、変イ長調に転調し、深々とした落ち着いた雰囲気の旋律が穏やかに流れます。 その中で和声が徐々に変化し、何ともやるせない感じが漂い、こうした雰囲気を出すには、 ちょっとしたセンスが必要になりそうです(僕にとっても耳が痛い話ですけど…)。 主部の再現部は、主部の旋律にトリルを主体とした手の込んだ装飾を施し、落ち着いた楽句に彩りを添えています。 この曲の最大の技術的課題も、この部分の、「これでもか」と続くトリルの連続部ですね。 最後は、右手でゆっくりした16分音符の極上の美しさを持つ旋律を奏でた後、静かに終わります。 非常に美しいノクターンで、私自身は、ショパンのノクターンの傑作の一つに数えています。 ノクターン第18番ホ長調Op. 62-2 作曲年:1846年 非常に優美で手の込んだ佳作です。 晩年の作品ですが、前作の第17番と比較するまでもなく、この作品には 憂鬱、深い悲しみといった要素がほとんどなく、ひたすら優美で華麗なノクターンとなっていることは、 ショパンの精神的な強さを感じさせます。 3部形式の主部では、いささかの感傷もないひたすら甘美なホ長調の 旋律が耳に心地よく響きますが、あまり感動的な旋律ではないようです。 ただし、この旋律を聴いていると、有名な「別れの曲」と同じ調性だから、 という理由もあるからなのか、ショパン自身の、人生に対する「別れの歌」といった趣で聴こえてくることもあり、 この作品が内面的にも非常に深い作品であると感じるようになってきました(これは、ホームページ 当サイト立ち上げ当初から、僕自身の感じ方が変化したからなのかもしれないです。 それから、「別れの曲」というタイトルは ショパン自身が付けたものではなく、ショパンを描写した同名の映画でこの曲が用いられたことに由来するようなので、 やや、「こじつけ」に近いものがありますけどね)。 対する中間部では、右手、左手ともに16分音符を 主体として動きを伴いながら、情熱的な楽句が流れていきます。 特に右手の動きは複雑で、 16分音符の2番目と4番目に、旋律を支える伴奏の役目の和音が付いてきますが、主に右手の4指、5指で作り出される旋律は、 常に伴奏型の和音から浮き出て、 途切れることなく滑らかなレガートを保ったまま演奏する必要があり、色々な意味で高度な技術が要求されます。 全体として、この曲はショパンのノクターン全曲の中でも、非常に手の込んだ作品となっており、 充実した和声と洗練された響きで聴かせる最高の芸術作品となっています。 この作品は、ショパンが作曲した数多くのノクターンの最後を飾る作品でもあります。 ジョン・フィールドの影響を受けた初期のノクターンから始まり、ショパンの独創性が加わって「進化」し、 ここに見事な第一級の芸術作品となって実を結んだ、と言えそうです。 ノクターン第19番ホ短調Op. 72-1 作曲年:1827年 3部形式。 ショパンのノクターン中、一番初めに書かれた作品で、作曲当時ショパンは17歳でした。 普通なら前途に希望を持ち、 満面の笑顔で青春を謳歌する同じ年齢の若者の中にあって、ショパンは何故これほど涙の味のする作品を書かなければならな かったのか。 幾分習作の域を脱していない感はあるものの、一つ間違うと最晩年の作品と見紛うほどの、 深い孤独と哀愁に満ちたホ短調の旋律は、私達に何を語りかけるのか。 実は作曲当時、ショパンは最愛の妹エミリアを 結核で亡くし、心に深い傷跡を残しており、そのような悲しみがこの作品に影を落としていると考えてよいと 思います。 それと同時に弱冠17歳にして、スラブ系特有の情のもろさ、「ものの哀れ」を肌で感じ、音に変えていく手法を 身につけていたという事実にも驚きを感じます。 ショパンの才能が現れた最初期の佳作と呼べると思います。 ノクターン第20番嬰ハ短調 遺作 「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」 作曲年:1830年 この曲を作曲した当時、ショパンには、 コンスタンツィア・グラドコフスカという片想いの女性がいましたが、この作品にもそのような一途な片想いに 悩み苦しむショパンの姿が影を落としています。 彼女への恋慕の情、憧憬は、当時の代表作・ピアノ協奏曲第2番 の創作の大きな動機ともなっており、この作品にはそのピアノ協奏曲第2番の第1楽章の変イ長調の第2主題、第2楽章の ピアノの出だしのアルペジオ、第3楽章のクラコヴィアク風の軽快なユニゾンの音型等が、そのままの音型で、 引用されています。 この曲の初版には「姉のルドヴィカが私のピアノ協奏曲第2番の練習の前に弾くために」と 書かれていたようです。 曲については、 同じ音型を繰り返す4小節の序奏の後、嬰ハ短調で悲痛で孤独なモノローグが奏でられますが、この旋律は一瞬にして 聴く人を捕らえます。 とくに15小節目の3連符の下降音型は、静かな叫び声といった趣で聴く人に強く訴え、胸が痛みます。 曲の至るところに、作曲当時のショパンの決して幸せではなかった青春時代、片想いの苦しみといったものが 感じられ、聴くたびに目頭が熱くなる作品です。 この作品が、独立で、全音ピアノピースに載っているのは、こうした甘く悲しい旋律が理屈抜きに聴く人を 感動させる力を持った作品だからだと思います。 ショパンのノクターンの中では、我が国では、第2番、第5番、第8番と並んで 最も親しまれている作品です。 最近は、映画「戦場のピアニスト」の影響でさらに人気が上がりましたね。 この曲は技術的にはそれほど難しい曲ではないと思いますが、再三登場するトリルをきれいに弾くのは 意外に難しいと思います。 また最後の方に登場する不規則連符(特に35連符)をきれいに弾くのも難しいですね。 (MP3プレーヤー(iPodRを含む)、iTunes、Windows Media Player等に対応) ノクターン第21番ハ短調 作曲年:18XX年 1938年になって草稿が発見され出版されたノクターンと言われています。 左手の伴奏音型は終止一定しており、 右手で孤独感、哀愁感漂う旋律を奏でます。 作曲年代については様々な説があるようですが、一体いつ頃の 作品なのでしょうか。 最新の説をご存知の方おりましたら、是非教えて下さい 曲目 名曲度 最高5 体感難易度 最高10 一般的認知度 最高5 ノクターン第1番変ロ短調Op.

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