フロイト 防衛 機制。 欲求不満とフロイトの防衛機制(高校倫理)

父を継いだアンナ・フロイトの功績

フロイト 防衛 機制

防衛機制(英語:defence mechanism)とは、危険や困難、受け入れがたい苦痛に晒されたときにそれによる不安やストレスを軽減するため、または何かしらの欲求があるがそれを叶えられない欲求不満の状態で心を落ち着かせるため、無意識的に働く心理メカニズムです。 言い換えると、自分の心をストレスから守り、心理的な安定を保つための自己防衛メカニズムです。 最もオーソドックスな防衛機制が「 抑圧」。 抑圧とは、思い出したくない記憶・感情、本当はやりたくても出来ないことを無意識下に押し込んで、意識しないようにする(忘れようとする)心の働きです。 たとえば、「上司に嫌味を言われたことを忘れる」「大好きな人がいるけど、既に付き合っている人がいるので意識しないようにする」などが挙げられます。 防衛機制にはたくさんの種類があり、人のよってよく使う防衛機制は異なります。 この記事では、防衛機制という概念はどうやって生まれたのか、防衛機制の種類や具体例を解説していきます。 自分はどの防衛機制をよく使うのか考えながら、読み進めてみてください。 自分を守る無意識の心理メカニズム「防衛機制」とは? 防衛機制とは、不安や罪悪感、恥などの不快な感情を弱めたり、避けたりして心の安定を保つために使われる心理メカニズムです。 防衛機制の多くは、幼少期の未熟で弱い自我が不満や不安に対処するために、使ってきたものです。 防衛機制には、発動された状況と頻度に応じて、「健康なもの」と「不健康なもの」があります。 不健康な防衛機制ばかりを使うと、偏った人格が形成されていき、社会不適応に陥ってしまったり、精神疾患になったりしてしまいます。 ジークムント・フロイト(独:Sigmund Freud) 防衛機制は元々、精神分析学の創始者であるジークムント・フロイトのヒステリー研究の中で考えられた概念です。 その後、フロイトの娘のアンナ・フロイトやアンナ・フロイトと同じく児童分析家のメラニー・クラインによって、防衛機制という概念がより整理されていきました。 ジョージ・E・ヴァイラントによる防衛機制の4つの分類 防衛機制には、その人の「 心の成熟度」が現れます。 もちろん、人間はとても複雑な生き物ですから、防衛機制だけでその人の心の成熟度が測れる訳ではありませんが、1つの指標としては役立ちます。 ハーバード大学医学部教授のジョージ・E・ヴァイラント(George. Vaillant)が防衛機制を 心の成熟度に沿って、以下の 4つのレベルに分類しました。 否認(英語:denial)• 歪曲(英語:distortion)• 投影(英語:projection)• 分裂(英語:splitting)• 転換(英語:conversion)• 原始的理想化(英語:primitive idealization)• 脱価値化(英語:revaluation)• 分割(英語:compartmentalization)• 躁的防衛(英語:manic defence) 否認(英語:denial) 否認とは受け入れがたい現実、不快な体験を無意識的になかったことにしてしまう防衛機制です。 否認を用いる人は、視界に入っているけど「見えてない」、聞いているけど「聞いてない」、知っているはずだけど「知らない」と言うなど、現実や体験をなかったことにしてしまいます。 アルコール依存症などの薬物依存症患者は、よく否認を用いる傾向があります。 教祖様は絶対に信用できる と他の人の言葉を聞こうとしなかったりします。 あとでご紹介する神経症的防衛機制の「抑圧」も不快なことを忘れさせる働きをしますが、 否認の特徴は知覚したうえで、その現実や体験をかたくなに認めないことです。 「見て見ぬふりをする」といった状態で、現実を知覚している自我と、その現実は受け止められず認めない自我とが分裂した状態とされています。 歪曲(英語:distortion) 歪曲とは自分の内なる期待・希望などの内的なニーズに合うように、外の現実世界を歪めて解釈する防衛機制です。 痴漢を犯す人は薄着の女性を見て「きっと痴漢して欲しいんだな」と現実を歪めて解釈することがあります。 投影(英語:projection) 投影とは自分の中にある受け入れがたい感情や衝動を他者も同じだと思い込む防衛機制です。 嫌いな上司がいるとしたら、 あの上司は自分のことを嫌っている と自分の感情を他人に投影して、他人の感情として認識します。 分裂(英語:splitting) 分裂とはある対象や自分に対して「良いイメージ」と「悪いイメージ」を別のものとして隔離し、「良いイメージ」が「悪いイメージ」によって汚染・破壊されないようにする防衛機制です。 分裂を用いる人は恋人や家族など自分にとって大切な人に対して、悪いイメージを抱きたくないがゆえに、そうした人が持つ悪いところや負の側面を無視します。 そして大切な人が行う悪事を見逃したり、悪事に加担してしまったりしてしまうケースもあります。 また、自分が持っている欠点・弱点を認められずに、良いところだけを受け入れ、自分の持っている欠点・弱点は他人に投影して責任転嫁するケースも分裂にあたります。 あとでご紹介する抑圧が「臭いものにフタをする」のに対し、分裂は「それぞれ別の箱に入れて」しまうようなものです。 分裂させた自己の悪い部分は、しばしば相手の中に「投影」されます。 転換(英語:conversion) 転換は抑圧された衝動や葛藤が、麻痺や感覚喪失といった身体症状として現れる防衛機制です。 転換は転換性障害(ヒステリー)の患者によくみられます。 転換性障害とは、無意識のうちにストレスが身体に転換されてしまう病気です。 カラダに異常があるわけではないのですが、転換性障害の患者にとっては本当に症状があるのです。 その症状の表れ方はさまざまで、• 「喉に違和感がある」「吐き気がする」といった臓器症状• 「手の感覚がない」「耳が聞こえない」といった感覚欠落症状• 「声が出ない」「痙攣してしまった」といった運動症状 人によって症状は異なります。 これらの症状は医学的に説明がつけられません。 転換性障害は軽いものであれば、3人に1人くらいは経験しています。 その大半は数回だけ起こり繰り返しませんが、中にはストレスがかかるたびに繰り返す方もいます。 参考 原始的理想化(英語:primitive idealization) 原始的理想化は自己と対象が「分裂」している状態で、分裂させた一方を過度に「理想化」してすべて良いものとみなす防衛機制です。 幼い頃の自分を思い出してみてください。 悲しい時、ケガをした時などあらゆる場面で、自分を守ってくれた親。 実際、僕は自分の親に限らず、学校の先生や周囲の大人はみんな超人的な振る舞いをする人たちだと理想化していました。 脱価値化(英語:revaluation) 脱価値化は自分の期待を満たさない対象を理想化せずに、価値のないものとして過小評価する防衛機制です。 対象の価値を下げる意味は、期待に応えない対象に対する「報復」という目的と、怒りを向けた相手がのちのち自分を脅かすだろうと予測されるため、「相手の能力を弱める」という意味があります。 児童の発達においては、「理想化」と「脱価値化」は非常に正常なものです。 しかし、幼少期の精神的外傷などによって発達段階が中断された場合は、成人期までこれらの防衛機制を保持することがあります。 つまり、分割した別々の自分間の相互作用を切り離すことによって、自分の中にある相反する価値観、感情、信念、認知を共存可能にします。 分割は多重人格障害などに関連します。 躁的防衛(英語:manic defence) 躁的防衛は自分の大切なものを失ったり、傷つけてしまったと感じた時に生じる不安や抑うつといったネガティブな感情を意識しないように、無理して明るく振る舞おうとする防衛機制です。 優越感(征服感)• 支配感• 軽蔑感 の3つの感情に特徴づけられます。 うつ気分とは真逆の躁の気分で抑うつの痛みを振り払おうとします。 未熟な防衛(英語:Immature defences) 3~15歳の未成年にとっては通常の防衛機制ですが、成人でもしばしば未熟な防衛が用いられます。 投影(英語:projection)• 心気症(英語:hypochondriasis)• 受動・攻撃行動(英語:passibe-aggressive behavior)• 行動化(英語:acting out)• 解離(英語:dissociation)• 取り入れ(英語:introjection)• 理想化(英語:Iidealization)• 退行(英語:regression) 投影(英語:projection) 精神病的防衛にも「投影」がありましたが、精神病的防衛での投影は「妄想的投影」や「原始的投影」と言われます。 投影は自分の中にある感情・願望・思考を自分以外の誰かのものであると認識する防衛機制です。 たとえば、• 苦手な人がいてその人を避けていても、自分がその人を避けているとは思わず、その人が自分を避けていると認識する。 自分が性的に魅力を感じている相手がいるが、相手が自分に対して好意を持っていて、「自分は誘惑されている」と認識する。 心気症(英語:hypochondriasis) 心気症は他人に対して怒り、恐れ、嫉妬などのネガティブな感情を抱いても、「自分が他人にネガティブな感情を持ってる」とは認識せずに、自分の健康状態に向けてしまい、「自分は健康ではない」「自分は病気だ」と認識する防衛機制です。 受動・攻撃行動(英語:passive-aggressive behavior) 受動・攻撃行動は相手に対してネガティブな感情を抱いていても、直接的には表現せずに、黙ったり、義務を放棄するなどで相手に反抗する防衛機制です。 行動化(英語:acting out) 行動化は自分の中に抑圧された衝動や願望、葛藤を受け止めたり、管理したりするのではなく、社会的には受け入れがたい問題行動として表現する防衛機制です。 少年期は好きなタレントや近所のカッコいいお兄さんの髪型や服装、話し方なんかをマネしますよね?それです。 理想化(英語:idealization) 理想化は無意識のうちに、自分や他者が実際に有している以上の能力・価値があると認識する防衛機制です。 退行(英語:regression) 退行は受け入れがたい状況に直面したときに、現在の自分よりも幼い時期の発達段階に戻る防衛機制です。 不安なときに他人の話を鵜吞みにしやすくなったりする現象も退行の一種です。 退行の多くは無意識的におこりますが、意識的におこる場合もあります。 この場合の退行は特に「病的退行」と呼ばれます。 病的退行の他には、「治療的退行」「創造的退行(健康的退行)」などがあります。 病的退行は比較的長い期間、昨日の低下を起こしますが、治療的退行は治療を行ったことで現れる、一時的な現象です。 発達段階に関する記事• 抑圧(英語:repression)• 置き換え(英語:displacement)• 反動形成(英語:reaction)• 知性化(英語:intellectualization)• 操作(英語:controlling)• 外在化・外部化(英語:externalization)• 阻害・禁止(英語:inhibition)• 分離・隔離(英語:isolation)• 合理化(英語:rationalization)• 離脱・逃避(英語:withdrawal)• 身体化(英語:somatization)• 性愛化・性別化(英語:sexualization)• 打消し(英語:undoing) 抑圧(英語:repression) 冒頭でご紹介した最も基本的な防衛機制です。 抑圧は自我にダメージを与えるような不快な記憶・感情・思考などを無意識の世界へ追いやって忘れてしまう防衛機制です。 赤ちゃんが母親のおっぱいを飲みたいけど飲めないときに、指しゃぶりをする• 会社で上司に叱られたけど言い返すことができず、帰宅後、家で妻に八つ当たりする などが例として挙げられます。 【置き換えの対象になりやすい人の特徴】• 「自分よりも弱い存在」と本人が認識している人物• 欲求不満の対象に近い人物 欲求不満の対象に近い人物というのは、たとえば、学校で成績優秀な生徒に見下されたと本人が感じて、たまたま廊下ですれ違った別の成績優秀な生徒に敵意を向けるとかです。 反動形成(英語:reaction) 反動形成は意識すると不安・不快な気分になるような感情・欲求を意識しないようにするために、それとは反対の行動を無意識的にとる防衛機制です。 嫌いな相手にすごく丁寧に接する• 小心者が虚勢をはる• 好きな相手にイジワルをする などが例として挙げられます。 本心とは正反対の態度や行動を取り続けることになるため、それがストレスとしてどんどん蓄積していくことになります。 そのため、精神的に追い詰められて、うつ病や神経症といった症状として現れることがあります。 知性化(英語:intellectualization) 知性化は自分自身を直視することを避け、難しい専門用語で理論武装する防衛機制です。 難しい専門用語やそれっぽい言葉を多用することで、自分では何かを理解しているつもりになっていても、実は本質的なことは何も理解していません。 知性化は不安や無力感から逃れるために、知性の世界、観念的の世界に逃避する防衛機制と言えます。 具体例• 自分が病気になったとき、病気について色々調べることで不安を和らげる• 他人とのコミュニケーションが苦手で、コミュニケーションに関する本などで知識をかき集めるけど、実際に行動に移さず、知識を集めることで満足する 知性化の背後には、「他人に対して優越感を持ちたい」「支配したい」という気持ちがあります。 知性化は多用し過ぎると、この先でご紹介する「分離・隔離」と同様に、 感情が生じなくなってしまいます。 感情が自分から切り離され、知性の世界へ逃げ込んでしまうと感情閉鎖的になり、人間関係がうまくいかないという事態に陥ります。 操作(英語:controlling) 操作は不安から逃れるために、外部環境を過度に管理または規制する防衛機制です。 具体例 パートナーに暴力を振るうという行為をすると、ふつう加害者は「罪悪感」という感情を抱きます。 しかし、分離を使うと「パートナーに暴力を振るう」と「罪悪感」が切り離されるので、淡々と暴力を振るうようになります。 合理化(英語:rationalization) 合理化は満たされない要求や受け入れがたい現実を理論化して考えることにより自分を納得させる防衛機制です。 合理化を説明するのに、よく イソップ寓話『すっぱい葡萄』が用いられます。 この話は、キツネが木になっている葡萄を取ろうとするんですが、木の上の方にある葡萄に届かないため、「あの葡萄はすっぱいに違いない」と自分を納得させる、というお話です。 「自分の感情(葡萄を食べたい)」と「自分の行動(葡萄に届かない)」が矛盾している状態を心理学の世界では、「 認知的不協和」といいます。 強盗などの犯罪に巻き込まれた被害者がときおり加害者に好意を抱く「 ストックホルム症候群」という状態に陥ることがあります。 認知的不協和はストックホルム症候群の原因の一つではないかと考えられています。 (例:嫌いな上司に会わないようにする)• (例:テスト勉強をしなきゃいけないのに、部屋の掃除を始める)• (例:テスト勉強をしながら、「学校が家事になってテスト中止にならないかなぁ」と空想する)• これは仮病とは異なり、本当に身体症状として現れます。 離脱・逃避は困難な状況から逃げているだけなので、根本的な解決にはなりませんが、逃げている間に心が多少安定して、困難な状況を受け入れる準備をするのに役立ちます。 身体化(英語:somatization) 身体化は不安や心理社会的ストレスを身体症状のカタチで訴える防衛機制です。 身体化の定義は「器官に明確な病理所見を欠いた状態で身体的不調を表現すること」および「病気的に確認された疾病に対する症状の誇張」(Katon et al. )です。 そして診断の際に、• 昇華(英語:sublimation)• 抑制(英語:suppression)• 利他主義(英語:altruism)• ユーモア(英語:humour)• 予想・想定(英語:anticipation)• 禁欲(英語:asceticism)• 友好(英語:affiliation)• 自己主張(英語:self-assertion)• 補償(英語:compensation)• 同定と取り込み(英語:identificaion introjection)• 気晴らし・気分転換(英語:distraction) 昇華(英語:sublimation) 昇華は社会では受け入れられないような欲望、衝動、感情を社会に受け入れられるような建設的な行動のエネルギーへと転化させていく防衛機制です。 具体例歯医者が苦手な人が歯医者へ行く前や治療を行っている時に、「前回はあまりい痛みもなく、何事もなく終わったんだから、今回も大丈夫だろう」「もう少しで終わりだ」と自分に言い聞かせる 禁欲(英語:asceticism) 禁欲は自分の欲望にこだわらずに手放したり、「放棄」の選択をする防衛機制です。 周りの人に合わせて無理に我慢するのでも、「禁欲的であること」を鼻にかけて他の人を下に見るのでも、「自分は欲望を超越した一つ上のステージにいる」という虚栄心でもない。 現実をしっかりと見据え、理解と見極めから生じた成熟した諦めです。 友好(英語:affiliation) 友好は自分の中で起こっている葛藤を他の人と共有し、助けを求める防衛機制です。 自己主張(英語:self-assertion) 自己主張は自分の気持ち・意見・要望を言葉で直接表現して、礼儀正しく敬意を払って他者に伝える防衛機制です。 相手を攻撃したり、威圧したり、操作することが目的ではなく、自分や他者の目標を達成することを目指します。 あわせて読みたい 具体例家庭生活が上手くいっていない人が、仕事で頑張って成果を出す。 上の例では、仕事で成果を出せると心に余裕が生まれ、家庭生活でも寛大になれるので、好転しやすいです。 同定と取り込み(英語:identification introjection) 同定・取り込みは他者の「良いなぁ」という所を見習う防衛機制です。 気晴らし・気分転換(英語:distraction) 気晴らし・気分転換は不快になったり、気分がふさぎ込んだりしたときに、気分を前向きに切り替える防衛機制です。 まとめ 防衛機制は自分一人では抱えきれないものに対する対処方法です。 精神病的防衛や未熟な防衛などの低次の防衛が悪いというわけではなく、成人になっても多くの人が使います。 ただ、低次の防衛ばかりを使うのはいけません。 低次の防衛ばかり使うと、精神疾患を患いやすくなってしまいます。 逆に高次の防衛を使っていても、同じ防衛ばかりを使っていたら、いずれ破綻してしまいます。 大切なのは、どれか特定の防衛機制ばかりを用いるのではなく、複数を組み合わせてバランス良く使うことです。 あわせて読みたい.

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自分を守る無意識の心理メカニズム「防衛機制」とは?種類・具体例を解説

フロイト 防衛 機制

防衛機制 defence mechanis 防衛機制とは、欲求不満から生まれる不安や緊張から自我を守るための心の自動的な働きのことである。 によって提起された精神分析学の概念。 自我は、苦しい現実に直面すると、さまざまな防衛機制を働かせて苦しみから逃避し、自我の安定を守ろうとする、その働きを防衛機制という。 具体的には、合理的解決、抑圧、合理化、同一視、投影 投射 、反動形成、逃避、退行、代償、昇華、近道反応がある。 ただし、防衛機制は、欲求不満の原因そのものをとりのぞくことしない。 ただ心の中の苦しみだけを解消しようとするのみである。 精神分析は自我を守ろうとする防衛機制の奥深くを探り出し、仰圧された苦しみを意識化し、苦悩を体験しながら苦しみの原因を合理的に解決しようとする。 合理的解決 合理的解決とは、欲求を合理的な手段によって満たし、欲求不満を解決すること。 抑圧 抑圧とは、不安や苦しみを引きおこす観念や欲求を、無意識の中に押しこめること。 自分はそのような観念や欲求を持たないと思いこむことによって、もしくは、嫌な記憶を思い出せないということによって、自我の安定を守ろうとする。 抑圧は、苦しみを回避するための自我のさまざまな防衛機制の基礎になるものである。 しかし、抑圧が強すぎると心にひずみが生まれ、自我の不安や精神的な病理、身体的な症状を引き起こすことも少なくない。 合理化 合理化とは、自分の行動にもっともらしい理由や説明をつけて、自分の立場を正当化すること。 人間は分が悪い経験をすると、負け惜しみによる自己満足や、やせ我慢をすることによって自らを納得させる。 合理化の例としては、イソップの物語の、キツネが木の枝のブドウを取れず、「あのブドウは、すっぱいに違いない」と理屈をつけて納得する逸話が上げられる。 同一視 同一視とは、他人が持つ能力や価値や功績をあたかも自分が持っているように想像し、自分をその他人と同一であるように思いこんで自己満足を図ろうとすること。 あこがれている人物や、映画や小説の主人公に自分を重ね合わせ、自分の価値が高いと思いこんで満足する。 具体的には任侠映画を見て自らが強くなったと思い込むことや、アニメやマンガの主人公にあこがれ、自分がヒーローのように強くなったと空想して満足すること。 投影 投射 投影(投射)は、自分の中の認めがたい考えや感情を相手に重ね合わせ(他人の責任とし)、相手がそのような感情を持っていると思いこむこと。 自分の持っている敵意を相手に投影して、相手が自分を敵視していると思って攻撃を正当化したり、相手に責任をなすりつけて、相手を非難する責任転嫁などが上げられる。 反動形成 反動形成は、自らの好ましくない特徴や感情に対して、反対の行動を誇張することによって、それらを抑えることである。 憎しみを持っている相手に過度に親切にして、自分が持っている敵対心や攻撃性を抑えること、臆病な人が他人にいばったり強がったりすること、強い性的嗜好をもつ人が性を否定的に扱ったり無関心を装うこと、などである。 逃避 逃避とは、自らの欲求が満たされないとき、その問題を解決しようとしないで、他のところに逃げこむこと。 自分の中に逃避して孤立したり、空想や白昼夢にふけったり、遊び・スポーツ・芸術などの現実と関係のない世界に夢中になったり、また神経症をおこして病気の中に逃げこんでしまうことなどである。 退行 退行とは、欲求が満たされず、小さな子どもの段階に逆もどりしてしまうこと。 発達以前の段階にもどって幼児のような行動をとることで、より安全で負担のかからない状態に自分を置こうとすることである。 弟や妹が生まれて親にかまってもらえない幼児が、赤ん坊の状態にもどって甘えようとしたり、大人が緊張すると子どものようにつめをかんだりすることなどである。 代償 代償とは、ある欲求が満たされないとき、よく似たかわりのもので欲求を満たすこと。 ペットを飼ってもらえない子どもかわりに、ぬいぐるみをかわいがって欲求を満たすこと、自分の持つある欠点や弱点について劣等感を持つ人が、ほかの方面で能力や才能をのばしてその苦しみを克服することなどである。

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防衛機制とは何か?①無意識の衝動や感情を統制するバックグラウンドシステムとしての自我の無意識的な働きに基づく心理的な防衛機能

フロイト 防衛 機制

フロイトはオーストリア出身の精神分析学者ですが、最初は催眠でヒステリーの患者を治療していました。 しかし、後には催眠に疑問を感じ、自由連想法を採用して、精神分析という方法を確立したのです。 「彼の偉大な功績は、【無意識】を発見したこと」、と言われるように、フロイトは心の構造を2つの視点から考えました。 1つは、意識、前意識、無意識、という構造です。 まずは最初の観点について考えてみましょう。 意識というのは、心の中の『自分で気が付いている部分』です。 そして前意識というのは、『今は気付いていないが、気付こうと思ったり何らかのきっかけが有ったりしたら、気が付く部分』であり、無意識というのは『気付けない部分』となります。 フロイトは、この構造を氷山に喩えました。 つまり、水面上に見える部分を『意識』、水面のあたりを『前意識』、水面下のとっても大きい部分を『無意識』であると考え、この巨大な無意識の部分が大きな役割を担っていると考えたのです。 さて、彼が考えたもう1つの観点としては、エス(イド)・自我・超自我という心の構造です。 彼は、人の心の奥深くにある、この『無意識』の領域が、人の考えや行動に影響していることを突き止め、この無意識的動機は本来、性的動機(リビドー)であると考えました。 エスというのは、この無意識的動機の貯蔵庫であり、「~したい」「~欲しい」などという『快楽原理』によって発動させる基地と考えられます。 しかし、この快楽原理で「何でも有り」となると、社会が成り立たなくなる為、自我が『現実原則』によってエスをコントロールし、さらにその上位には「~するな」とか「~するべきだ」という超自我が『良心(道徳)』としてエスを抑えていると考えたのです。 これによると、自我はエスと超自我の交通整理をしていると言えますね。 まとめ役と言ってもいいでしょう。 さて、世界的な哲学者・心理学者であるフロイトなのに、日本ではあまり人気が無いようですが、これには東洋と西洋の宗教や歴史の違いが大きいと思われます。 簡単に言うと、西洋では、「自分の事は自分が全てわかっている」つもりだったんですね。 ところが日本はベースに仏教が有り、その仏教は大昔から【無意識】を認めているのです。 仏教では古くから『意識下にあるモノ』について考えられてきました。 認知としての『(仏教で考える)意識』の下に『末那識(煩悩の貯蔵庫)』が、そして、その下に『阿頼耶識』が存在すると考えたのです。 ちなみに、この『阿頼耶識』というのは、上座部(小乗)仏教では、フロイトの考えたエスに似ている部分があり、大乗唯識では後で述べる、ユングの考えた『普遍的無意識』と共通する、遺伝の歴史や根源を含んだものと考えられていました。 これらの考え方が影響しているのか、フロイトの『無意識の発見』という業績に対し、「自分の心の中に、自分が知らなかったりコントロールできない領域が有るなんて!」と驚愕した西洋人に比べ、あまりびっくりしなかったのかもしれませんね。 フロイトは、ヒステリーの患者に対し、始めは催眠療法を用いていました。 しかし、患者の中には催眠に陥らない人もいるし、無意識レベルの深さまで到達しない人も多く、彼は催眠療法に限界を感じ、『前額法』へと治療法を変えました。 これは、患者をベッドに寝かせて額を手で押しながら質問をする方法です。 ところが或る日、患者がフロイトにこう言ったのです。 「先生の質問によって考えの流れが途絶えてしまいます」 質問しているつもりが、実は患者の話の腰を折っているのだ、と気付いたフロイトは、それ以降は患者に『心に浮かぶことを、そのまま自由に語ってもらう』ように方針を転換しました。 これが、有名な【自由連想法】です。 ここから『精神分析』の歴史が始まりました。 エディプスコンプレックス フロイトは、自分の心を見つめているうちに、人は幼児期に異性の親を愛し、同棲の親と張り合うのではないかと考えました。 この心理を、『父とは知らないで父親を殺し、母とは知らないで母親と結婚してしまったギリシャ神話の王子』の名にちなんで『エディプス感情』と名づけました。 これがコンプレックスとなったのが、かの有名なエディプス・コンプレックスです。 この、子供の頃に生じたエディプス・コンプレックスは、一旦は薄れていくのですが、思春期にまた表れると言われています。 父と対立したり張り合ったりする息子や、母ととげとげしくなってしまう娘などが良い例ですね。 この対立を乗り越えられると、親への理解が深まります。 防衛機制 さて、次は防衛機制についてです。 防衛機制とは、心がピンチになった時に、心が壊れたりするのを無意識の内に防ぐ防御システムと考えてもいいでしょう。 例を挙げてみましょう。 (なお、本来は無意識のうちに進むのですが、例ではわかりやすくする為に『言葉』にしてあります) 【 合理化】 これは『酸っぱいブドウ』として有名です。 イソップ寓話で、キツネが手が届かなくて取れないブドウを、「あんなもの酸っぱいに決まってる。 」と、負け惜しみを言ったことから来ているのですが、要は自分の心の帳尻合わせですね。 「おおっ カワイイっ! ねぇねえっ ちょっと食事でもどう?」 「ぜ~~ったいイヤッ!!! 」 「ちぇっ カワイイけど、きっと性格が悪いんだな。 断られてかえってよかったかも…」 カウンセリングの場面では、例えば交流分析で言うところの【禁止令】を言われた子供が、その言葉を合理化してしまう場合が見かけられます。 例を挙げますね。 父親に『お前は鬱陶しいヤツだなぁ』とか『目障りだ』とか言われた女の子は、これらの言葉が禁止令の『存在するな』に当たる為、この言葉をそのまま受け入れるには非常に抵抗があります。 従って、この子供はこれらの言葉を『これはこれで父親の愛情表現だ』と合理化してしまう場合があるのです。 すると、この女の子は大きくなってから、『お前は鬱陶しいヤツだなぁ』とか『目障りだ』とか言う男性に好意を抱いてしまう場合があるんですね。 ただ、これは無意識のうちに【合理化】されてしまったものなので、友人から「どうしてあんなひどい事を言う男とばかり付き合うの?」と言われても、本人は理由に気付きません。 【 抑圧】 記憶から消し去ろうとする事です。 「もう 電話かけてきたりメールするのヤメてね」 「ええっ どうして?」 「好きな人が出来たから」 「ぼ ぼくって好きな人じゃなかったの?」 「え~~っ? あなたは、只の『と・も・だ・ち』」 「・・・これは悪い夢だ。 忘れよう。 無かったことにしよう」 この例では、意識的に忘れようとしていますが、実際の場合は『無意識のうちに』忘れようと抑圧してしまいます。 【 投影】 彼女のことをとっても好きだと、彼女がちょっと微笑んだだけでも、自分に好意を持ってる・・・とか思ってしまう場合等。 逆に、自分が気にしている自分の欠点などを、相手の中に見てしまう事も有ります。 「彼女ってとってもお金に細かいんだよな~。 この前食事に行った時なんかワリカンはいいんだけど、3円とかまで取るんだぜ。 まったく、それくらいオマエが払えっつ~のっ」 「…おいおい 」 【 同一視】 自分以外の人が持っている優れたモノを、まるで自分のモノのように感じたりする事です。 ちょっと古い話ですけど、カッコいいサッカー選手がヘアースタイルをモヒカンにしましたよね。 真似をした人も多かったとか…。 あと、アムラーも流行りましたね。 【 補償】 劣等感などを他の事で努力したりして補います。 ただ、動機が動機なので挫折することも多いんですね。 唇を噛み締めて勉強しようとしたら、なんと他のカワイイ女性が、 「ねぇねぇ、手羽先食べに行かない?」 「行く行くっ! 」 ま、そんなもんです。 誰でも…。 【 昇華】 何かで凹んだ場合、他の高次な次元に進んで発散しようとします。 「ごめんなさい、私って高学歴の人としか付き合わないことにしてるの」 「うわ~! またふられた もうオレにはギターしかないっ!」 …と、音楽を徹底して練習していたら、有名なギタリストになっちゃうとかですね。 但し悔しかったことをバネにして成功した、というのは成功した人の言う言葉です。 失敗した人には、人は聞きもしませんし、本人も話したくないので『悔しさをバネにしたから成功する』と決まったワケではありません。 でも、それにこしたことがない、というのは確かですが。 【反動形成】 抑圧した感情と正反対の事をしてしまいます。 フロイトは強迫神経症に特異なものとして書いています。 無意識下で憎悪などの衝動が抑圧されている場合に、あたかも親愛の情を持つように振る舞う場合が典型的な例です。 毎週火曜日 夜間 に名古屋で、月曜 午後 に一宮で心理カウンセラー養成講座を開催中。 参加費 月4回で1万2千円(テキストや資料代込) 毎月1回の土曜集中講座(12回完結)も開いています。 直販のみです。

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